管理人のイエイリです。
会沢高圧コンクリート(本社:北海道苫小牧市)は、2018年にオランダから実物の建物を建設できるロボットアーム式の3Dプリンターを直輸入し、材料や用途などについて研究を続けてきました。
2019年4月1には、現在の年号「令和」が発表されてからわずか2時間後に、コンクリート状の材料で「令和」のオブジェを造形したスピード感あふれる造形技術も披露しました。(詳しくは、2019年4月12日の当ブログ記事を参照)
そして同社は、3Dプリンターによって
ナ、ナ、ナ、ナント、
日本初の建築物を“印刷”
し、2020年9月16日に同社の深川工場(深川市)内で一般公開したのです。(会沢高圧コンクリートのプレスリリースはこちら)
今回、建設したのは札幌市型トイレと、インド向けトイレの建屋です。
使用した3Dプリンターは速乾性の特殊モルタルを、ロボットアームのノズルから吹き出して、壁の断面に沿って薄く積み上げていく方式です。
日本ではコンクリートが建築基準法の指定建築材料になっているため、特殊モルタルなどを使用するためには大臣認定などの性能評価が必要です。
そこで今回は、3Dプリンターで外装材を兼ねた中空の「打ち込み型枠」を作り、その中に配筋して普通のコンクリートを打設するという鉄筋コンクリート造としました。
インド向けトイレは、花のつぼみをイメージしたデザインでサイズは外径3740mm×高さ2660mmの大きさです。複雑な凹凸を持つ曲線形状になっています。
このトイレは現場に3Dプリンターを持ち込んで基礎の上に直接印刷する「オンサイトプリンティング」という手法を始めて採用しました。
上下水道が普及していないインドのインフラ事情を考慮し、おがくずによって排せつ物を分解する装置や、空気中の湿気から水を生成する装置、スマートフォンによるロック開閉と前利用者の評価を行う機能なども備えています。
話は変わりますが、同社は建築用のプレキャストコンクリート(PC)部材に本格参入するため、深川工場に大型を製造する新工場棟を建設中です。
この新棟の設計から施工までを担当した社員には、プロジェクト遂行上の苦労や喜びがありました。
その姿をiPhoneで点群データとして撮影し、
レリーフとして印刷
したのです。(会沢高圧コンクリートのプレスリリースはこちら)
その寸法は幅1780mm×高さ2860mm×厚さ250~450mmと、かなりの大きさですが、1枚の印刷時間はわずか50分でした。
レリーフは工場の柱の間に16枚設置され、国内で初めて3Dプリンターを実建築物件に使用した事例となりました。
建物の外側には、プロジェクト担当者が建設に携わった気持ちが、末永く記憶に残されます。3Dプリンターによる新しい意匠デザインも生まれそうですね。