管理人のイエイリです。
最新型の「iPhone 12 Pro」は、先週の金曜日(2020年10月23日)から、ユーザーの手元に届き始めました。
第5世代移動通信システム「5G」に対応したこともありますが、建設関係者にとって最大の話題は、なんと言ってもリアルタイムに建物や風景などを3D点群で計測できる「LiDAR(ライダー)センサー」が搭載されたことでしょう。
VR(バーチャルリアリティー)やAR(拡張現実)などの開発を手がけるホロラボ(本社:東京都品川区)の藤原龍さんも、早速、実際の建物でLiDAR機能を試してみました。
計測は小雨が降る中、軽量・小型で防水性能も優れているiPhoneの機動力を生かした方法で行われました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
iPhoneをポールに装着
し、屋根の上などを測ったのです。
3D計測に使用したアプリは、「3d Scanner App」です。無料でありながら3D計測から点群の編集、計測、さらには点群データの書き出しまで、幅広く対応しています。
このアプリは、建物のいろいろな部分をビデオカメラで撮っていくように3D計測を行います。
画面を通して建物を見ると、点群計測された部分の色が青や紫に変わっていきます。iPhoneの位置や角度を変えながら、建物全体を3D計測していくのです。
するとiPhoneの中では、様々な角度から計測した点群データを合成する「レジストレーション」がリアルタイムに行われていきます。
うまく計測するコツは、iPhoneを「じわじわ」と動かしていくことです。急に動かしたりするとぶれてしまうこともあります。今回の計測は、かなり“雑”に行ったそうですが、そこそこの3Dモデルができあがりました。
この3Dモデルは、リアルな風景と重ねて見ることで、ARとしても使えます。ここまでの一連の作業は、藤原さんのツイートから動画で見られます。
藤原さんの実証実験はさらに進みます。今度は、iPhoneで計測した点群データを書き出して、スタンドアローンで動くVRヘッドセット
Oculus Quest
に対応するアプリまで作ってしまったのです。
そして、建築的なソリューションの可能性を追求するため、いろいろな断面を切って見られる断面表示機能も実装しました。(動画で見たい方は、藤原さんのツイートからどうぞ)
3Dスキャナーはこれまで、数百万円以上するもので、携帯型の機器でもかなりの大きさでした。
その点、iPhoneはポケットに入れられる超小型サイズで、価格も十万円そこそこと、3Dスキャナーとして使うだけでも超買い得ですね。
建築分野で使えそうなアプリも、今回ご紹介した「3d Scanner App」や「pronoPointsScan」、間取り図作成に特化した「RoomScan LiDAR」などがあります。
家具店で気に入った家具をiPhoneで3D計測し、自宅の部屋でAR機能を使ってサイズを確認したり、iPhoneを自転車に取り付けてMMS(モービルマッピングシステム)のように走りながら遊歩道を計測したりと、様々な使い方もできそうなので、試してみてはいかがでしょうか。
【訂正】
初出時にAR表示にマーカーを使用すると記載しましたが、誤りでした。訂正します。