管理人のイエイリです。
建設業界には、技術力に定評があり、長年、地道に実績を積み重ねてきた“質実剛健”な企業が多数、存在します。
1981年に創業したインフォマティクス(本社:川崎市幸区)もその一つです。
GIS(地理情報システム)ソフトの「SIS」をはじめ、3次元CADの「MicroGDS」、3Dビジュアライゼーションツールの「Piranesi」、そして最近は「HoloLens」などのMR(複合現実)デバイスに対応した「GyroEye Holo」など、高度な技術力を生かした建設業界向けのソリューションを展開してきました。
この技術力にひそかに注目していた“巨人”がいました。
その企業とは、プロ野球球団の運営のほか、元大リーガーのイチロー選手や元AKB48メンバーの川栄李奈さんを起用したテレビCMで知られるあの、オリックスなのです。
同社は2020年12月29日に、インフォマティクスの株を
ナ、ナ、ナ、ナント、
95%も取得
していたことを発表しました。(オリックスのプレスリリースはこちら)
オリックスのプレスリリースによると、同社がインフォマティクスを着目した理由として、「今後、5GやAIなどの最新技術により、3次元空間情報の分析や視覚処理を可能とするGISはさらなる市場拡大が見込まれてる」からだとしています。
また、MR技術については、「建設現場と本社間の遠隔コミュニケーションツールなどを盛り込んだ業務効率向上ツール『GyroEye Holo』は、国土交通省の推進するi-Constructionにおいて評価されていること」や、建設業界における
高齢化や技能継承
などの中長期的な課題解決策の一つとして、ゼネコンなど約70社に導入されていることなどを挙げています。
これまで建設業を対象としたハード・ソフトベンダーなどは、業界内のユーザーのニーズに合わせて地道に技術力や製品力を磨いてきた企業が多く、巨大企業による買収の話は、あまり聞かなかったように思います。
しかし、建設業も今、i-Constructionや建設DX(デジタルトランスフォーメーション)の流れに乗って大きく変わりつつアリ、それに対応できる製品やサービスも、これまで以上の営業力や製品展開力で勝負する時代になってきました。
今回の買収劇は、建設系の技術力を必要とするオリックスと、強力な営業力でさらなる展開を図りたいインフォマティクスの利害が一致したものと言えるでしょう。
ともすれば「技術偏重」になりがちな建設分野のベンダーにとって、異業種とのコラボレーションが企業価値を大きく高めるための経営戦略になりそうですね。