重機運転もテレワーク時代に! ARAVと諸岡がキャリアダンプのスマホ運転に成功
2021年2月10日

管理人のイエイリです。

造成現場などで使われるクローラー式の不整地運搬車(キャリアダンプ)メーカーである諸岡(本社:茨城県龍ケ崎市)は2019年7月、茨城県阿見町に約6800m2の規模を誇る「試験開発・デモセンター(AMI R&D Center)」を開設しました。

ここには最大傾斜約40度の急勾配や軟弱地盤など、様々な現場状況を再現したテストコースが設けられています。

様々な現場状況を再現したテストコースをもつ「試験開発・デモセンター」の施設(資料:諸岡)

先日、このテストコースを右へ左へと、小刻みに向きを変えながら走行するキャリアダンプ「MST-2200VD」の姿がありました。

勾配のあるテストコースを走行するキャリアダンプ(特記以外の写真:ARAV、諸岡)

初心者が体験操縦をしているのかと思いきや、このキャリアダンプの運転席にはオペレーターは乗っていないではありませんか。

それもそのはず、

ナ、ナ、ナ、ナント、

12km離れた本社

から、スマートフォンで遠隔操縦されていたのです。(ARAVのプレスリリースはこちら

よく見ると、運転席には誰も乗っていない

キャリアダンプの操縦に使われたスマートフォン

諸岡の本社と試験開発・デモセンター間の距離は12kmもある(資料:Google Map)

このキャリアダンプには、東京大学発のスタートアップ、ARAV(本社:東京都文京区)が開発した重機の遠隔操作システム「Web Controller」が搭載されており、インターネットに接続したスマホで運転できるようになっています。

諸岡はこれまで、危険な場所ではオペレーターは重機に乗らず、数百メートル離れた場所から目視しながら無線操縦していました。

今回、両社はオペレーターのテレワークを想定して、目視外でのキャリアダンプの遠隔操縦に実験に挑戦したのです。

IDとパスワードで重機にログインすると、スマホの画面には重機からのカメラ映像と操作パネルが表示されます。

スマホのタッチパネルを操作して、前後左右の走行のほか警告音やエンジン回転数、ヘッドライト、ウインカー、そして荷台の昇降などの操作を遠隔で行えます。

今回は安全のため、エンジンのオン・オフは現地で行いました。使用した回線は4Gですが、アップダウンのあるテストコースを約200m走行できました。

スマホによる遠隔操作に使われたキャリアダンプ。多数の配線が見える

動画を見ると、運転がややぎこちない感じもしましたが、初めてのチャレンジで不慣れな点もあったからでしょう。少し練習すれば、さらにスムーズな運転ができそうです。

今回は12km離れた本社からの遠隔操縦でしたが、インターネット経由での操縦が成功したとなると、

数千キロメートル

離れた場所からでも遠隔操縦ができることになります。

他のキャリアダンプの横をスムーズに走り抜けていった

現行の基準では、重機の遠隔操作を行うのに特別な資格は必要なく、通常の技能講習を受けていれば大丈夫とのことです。

重機の自動運転技術も大手建設会社を中心に開発が進んでいますが、まずは単純な重機運転のテレワーク化が実現しそうですね。

全国各地のオペレーターが「今日は九州の林道現場、明日は北海道の造成工事」といった具合に、自宅などから現場業務に従事する時代になりそうです。

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