管理人のイエイリです。
最近の新幹線に使われているコンクリート橋は、以前よりスパンが長かったり、橋脚が太かったりしますが、JR東日本はこのほど、福島県白河市内に、昔懐かしいスタイルの高架橋を建設しました。
この“レトロ”感あふれる高架橋がなぜ、いま、建設されたかというと、
ナ、ナ、ナ、ナント、
東北・上越新幹線
の大規模改修工事に備えての技術開発を行うためなのです。(JR東日本のプレスリリースはこちら)
この橋は全長80mで、同市内にあるJR東日本総合研修センターの敷地内に改修工事を再現できる「実物大模擬設備」として建設されました。同時に約30mのトンネルや約30mの土工の擁壁、全長約70mのスラブ軌道なども造られました。
JR東日本では、1982年に開業した東北新幹線(東京~盛岡間)と上越新幹線(大宮~新潟間)の合計、約780kmの区間で2031年度から10年間で大規模に改修する計画です。その費用は1兆0406億円にも上る予定です。
コンクリート橋は表面を樹脂などでコーティングするほか、スラブ軌道はレールを固定する部材やスラブ版下の緩衝材の交換、トンネルでは上部空げきへの注入やロックボルトによる補強などを行う予定です。
全長780kmにも及ぶ大工事を10年間という限られた期間で行うために、この施設では様々な技術開発が行われます。
例えば、コンクリート内部の鉄筋の位置を把握する鉄筋検査ロボットの開発や、スラブ軌道のすき間把握や緩衝材交換の機械化、トンネルのカーブ区間での杭打設機械の開発など、多岐にわたっています。
その設計や工事の情報管理を効率的に行うために、
3次元点群データ
をフルに活用することを計画しています。
まさに、点群で膨大な構造物を「デジタルツイン」(デジタルの双子)化して、机上で高精度な設計や施工計画行おうという取り組みですね。
同社では、これだけの規模の構造物を点群化するために、どのような計測方法や活用方法が望ましいかを検討しています。
このほか、同社では新潟県十日市市内の千手発電所の発電機や水車を支える設備の大規模取り換え工事を実施していますが、オフィスから工事現場への移動や確認作業に時間を要しています。
そこで同社とソフトバンクは、5G回線と画像や点群データによる「デジタルツイン」を使って、リモートでの監督業務を実現するための実証実験を2021年の夏ごろから始めます。(JR東日本、ソフトバンクのプレスリリースはこちら)
画像や点群データの取得には、ドローンなどを活用し、人手に頼らないデータの取得や確認方法を検討するとともに、データの伝送には高速・大容量通信が可能な5G回線を活用して、工事の情報をリアルタイムで把握できるようにします。
現場の画像や点群によるデジタルツイン化は、誰が日々の現場を記録するかが課題になりがちです。
この実証実験で、人手に頼らず、自動的にデジタルツイン化を行ってくれる方法が実現できると、施工管理のテレワーク化がぐっと実現しやすくなりますね。