管理人のイエイリです。
BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)などの3Dモデルを、現場の風景に重ねて実寸大・立体視できるMR(複合現実)デバイス、「Microsoft HoloLens2」やヘルメットと一体化した「Trimble XR10」は、合意形成や施工管理、維持管理の効率化ツールとして建設業でも期待が高まっています。
ただ、これらのデバイスには容量に限界があるため、ビルのBIMモデルを丸ごと読み込んでMR体験することは難しく、特定のフロアや部屋などに限ったモデルや、解像度をぐっと落としたモデルしか見られませんでした。
そこで、BIM/CIMモデルなどをMR化するソリューション「mixpace」などを開発・販売するホロラボ(本社:東京都品川区)は、この限界を打ち破る新サービス「mixpace Remote Rendering」(以下、mRR)を開発し、3月から一般ユーザーへの提供を始めました。
これまではHoloLens2の内部でレンダリングしていたため、約10万ポリゴンまでのモデルにしか対応できませんでしたが、このmRRサービスでは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
数千万から億単位
のポリゴン数まで対応できるのです。(ホロラボのプレスリリースはこちら)
例えば、上の写真の例は旧・都城市民会館をフォトグラメトリーという手法で3Dモデル化したもので、ポリゴン数は約3000万もあります。これまで限界とされてきたポリゴン数の300倍にも上ります。
なぜ、こんな芸当ができるのかというと、3Dモデルを任意の視点からの映像に変換する「レンダリング」という処理を、「Microsoft Azure
Remote Rendering」というパワフルなクラウドサービスで行っているからです。
レンダリング以外はHoloLens2側で処理しているので、3Dモデルを空間に配置するなどの作業はこれまで通り、同様に行えます。
mixpaceは建設業界で使われているBIMソフト「Revit」用ファイル形式「.rvt」や、BIMデータ交換用の共通フォーマット「.ifc」、AutoCAD用の「.dwg」や「.dxf」などの3Dモデルを、クラウドにアップするだけでMR用に変換してくれるサービスです。
今回、mRRが開発されたことで、従来の約10倍となる1GB程度のデータも変換可能になりました。
このほか、BIM/CIMユーザーにとってうれしいのは、これまでHoloLens2で扱うことが困難だったBIMモデル統合ソフト
Navisworksのファイル
も、自動的にMR化できるようになりました。
ホロラボでは、mixpaceの既存ユーザー向けと、新規ユーザー向けにmRRサービスを使えるプランを設けており、SB C&Sを通じて従量課金式で提供します。
MRデバイスとクラウドの連携で、巨大なBIM/CIMモデルを丸ごとMR化できるようになったことで、HoloLens2やXR10の現場での実用性はますます高まりました。
そして、現場で働く技術者がMRデバイスによって“超人的”な施工管理能力を発揮する日も近そうですね。