HoloLens2でビルを丸ごとMR体験! mixpaceが巨大BIMモデルに対応
2021年3月5日

管理人のイエイリです。

BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)などの3Dモデルを、現場の風景に重ねて実寸大・立体視できるMR(複合現実)デバイス、「Microsoft HoloLens2」やヘルメットと一体化した「Trimble XR10」は、合意形成や施工管理、維持管理の効率化ツールとして建設業でも期待が高まっています。

HoloLens2を着けたホロラボ共同創設者兼CEOの中村薫氏(写真:家入龍太)

ただ、これらのデバイスには容量に限界があるため、ビルのBIMモデルを丸ごと読み込んでMR体験することは難しく、特定のフロアや部屋などに限ったモデルや、解像度をぐっと落としたモデルしか見られませんでした。

そこで、BIM/CIMモデルなどをMR化するソリューション「mixpace(ミクスペース)」などを開発・販売するホロラボ(本社:東京都品川区)は、この限界を打ち破る新サービス「mixpace Remote Rendering」(以下、mRR)を開発し、3月から一般ユーザーへの提供を始めました。

これまではHoloLens2の内部でレンダリングしていたため、約10万ポリゴンまでのモデルにしか対応できませんでしたが、このmRRサービスでは、

ナ、ナ、ナ、ナント、

数千万から億単位

のポリゴン数まで対応できるのです。(ホロラボのプレスリリースはこちら)

フォトグラメトリーで作成された旧・都城市民会館の精密な3DモデルをHoloLens2で見たイメージ(以下の写真、資料:ホロラボ)

上のMRのもととなった高精細のフォトグラメトリーデータ。ポリゴン数は約3000万にも上る

例えば、上の写真の例は旧・都城市民会館をフォトグラメトリーという手法で3Dモデル化したもので、ポリゴン数は約3000万もあります。これまで限界とされてきたポリゴン数の300倍にも上ります。

なぜ、こんな芸当ができるのかというと、3Dモデルを任意の視点からの映像に変換する「レンダリング」という処理を、「Microsoft Azure
Remote Rendering」というパワフルなクラウドサービスで行っているからです。

mRRの全体構成。大きなマシンパワーを必要とするレンダリング処理をクラウドサービス上で行い、HoloLens2にリアルタイムで送信している

レンダリング以外はHoloLens2側で処理しているので、3Dモデルを空間に配置するなどの作業はこれまで通り、同様に行えます。

HoloLens2用のmixpaceビューワーアプリで、旧・都城市民会館の3DモデルをMR空間に配置したところ

mixpaceは建設業界で使われているBIMソフト「Revit」用ファイル形式「.rvt」や、BIMデータ交換用の共通フォーマット「.ifc」、AutoCAD用の「.dwg」や「.dxf」などの3Dモデルを、クラウドにアップするだけでMR用に変換してくれるサービスです。

今回、mRRが開発されたことで、従来の約10倍となる1GB程度のデータも変換可能になりました。

このほか、BIM/CIMユーザーにとってうれしいのは、これまでHoloLens2で扱うことが困難だったBIMモデル統合ソフト

Navisworksのファイル

も、自動的にMR化できるようになりました。

Navisworksで作られたBIMモデル。約140万ポリゴンある

mRRでMR化し、HoloLens2で部屋の中に配置してみた例

巨大なスタジアムをモデル化したNavisworksのデータ(左)とmRRでMR体験したイメージ(右)

ホロラボでは、mixpaceの既存ユーザー向けと、新規ユーザー向けにmRRサービスを使えるプランを設けており、SB C&Sを通じて従量課金式で提供します。

MRデバイスとクラウドの連携で、巨大なBIM/CIMモデルを丸ごとMR化できるようになったことで、HoloLens2やXR10の現場での実用性はますます高まりました。

そして、現場で働く技術者がMRデバイスによって“超人的”な施工管理能力を発揮する日も近そうですね。

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