HoloLens2と準天頂衛星「みちびき」が連携! 広大な現場とBIM/CIMがピッタリ
2021年3月8日

管理人のイエイリです。

インフォマティクス(本社:神奈川県川崎市)は「Microsoft HoloLens2」や「Trimble XR10」といったMR(複合現実)デバイスで、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)モデルを見られるようにするソフト「GyroEye Holo」を開発・販売しています。

同社は2021年2月19日、三重県度会町で施工中の造成現場で、GyroEye Holoの新機能を検証しました。

使用したのはHoloLens2が専用ヘルメットと一体化したXR10ですが、ヘルメットの上になんやら円盤のような金属板や小さな箱が付いています。

XR10のヘルメットの上には、丸い金属板や小さな箱が付いていた(特記以外の写真:家入龍太)

これらはいったい、何のために付いているのかというと、

ナ、ナ、ナ、ナント、

準天頂衛星「みちびき」

と通信するためだったのです。(インフォマティクスのプレスリリースはこちら

準天頂衛星「みちびき」のイメージ図(特記以外の資料:インフォマティクス)

MRはバーチャルな3Dモデルとリアルな現場とを重ねて見るツールです。そのためには、現場で使っているMRデバイスの位置をリアルタイムに把握して、3Dモデルと合わせる必要があります。

そこで、MRデバイスの位置を高精度にリアルタイム計測するため、みちびきから送信される電波を受信し、利用しているというわけです。

準天頂衛星「みちびき」のイメージ図(特記以外の資料:インフォマティクス)

i-ConstructionのICT土工などで使われる「RTK-GNSS」は、建機自身で受信した電波に加えて、位置がわかっている電子基準点からの「補正情報」をインターネットや携帯回線などで取得し、合わせて利用することで、位置の精度を大幅に高めることができます。

みちびきは従来のGNSS(全地球測位システム)衛星と違って、約300カ所の電子基準点から補正情報を集め、宇宙から地上に向けて補正情報を送信する「センチメータ級測位補強システム(CLAS)」という機能を備えています。

そのため、みちびきからの補正情報が受信できれば、GNSS衛星の電波だけを使って

サブメートル(10cm)

程度の精度で位置を把握できます。

広大な造成現場で行われた実証実験

XR10を通して見た3Dモデル。現場と3Dモデルはスムーズに追従した

現地盤面と仕上げ面までの高さもMRデバイス上で計測できる

インフォマティクスのGyroEye Holo開発の歴史は、常にリアルとバーチャルの位置合わせをいかに高精度に行うかがテーマでした。

初期のころは、「原点」となるマーカーを、いかに正確な位置や向きに置くかが課題でした。

初代のHoloLensを現場で検証するインフォマティクスの技術者。ヘルメットには何も付いていない

「原点」となるマーカー。水準器や水糸で正確な位置に配置することを心がけた

続いて、ヘルメットに測量用のプリズムを取り付け、自動追尾機能が付いた墨出し用のトータルステーションでMRデバイスの位置を計測する方法を開発しました。

ヘルメットに測量用のプリズムを取り付けて、トータルステーションで位置をリアルタイムに追尾する

しかし、トータルステーションを使っても、見通せない場所までは追跡できなかったり、距離の制限があったりしました。

今回、「みちびき」による位置計測技術が開発されたことで、どんなに広大な現場でも、リアルとバーチャルの位置合わせに悩む必要がなくなったのです。

そして、リアルなマーカーはバーチャルな「空間アンカー(Microsoft Azure Spatial Anchors)」に変わりました。

HoloLens2やXR10の開発者も、まさか日本のベンダーがここまでの機能を開発するとは思ってもみなかったのではないでしょうか。インフォマティクスの地道な努力は、着々と成果をあげていますね。

今回の実証実験について、詳しくは「2021年3月5日付けのサクセスストーリーコーナー」をご覧ください。

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