管理人のイエイリです。
BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)のデータ交換標準「IFC」を開発する国際組織として有名な「buildingSMART」が主催する大会「バーチャルサミット春2021」(Virtual Summit Spring 2021)が、2021年3月15日から26日まで開催中です。(参加は有料です)
今回のホスト国はスイスです。しかし、コロナ禍によってリアルな会場では開けませんので、オンラインで開催されています。
2週間近くにわたる大イベントのため、数え切れないほどの講演がめじろ押しです。
どれに“参加”しようかと、あれこれ試しているうちに出会ったのが、昇降機メーカー、シンドラー(Schindler)のグローバルアカウント管理責任者、マイケル・ドブラー(Michael
Dobler)氏の講演でした。
ドブラー氏は20分間の講演中、いろいろな場所に瞬間移動しながら、エレベーターのDX(デジタル・トランスフォーメーション)について紹介しました。
中でも、面白かったのはタイヤが横に中にロボットアームを搭載したマシンでした。
このマシンは、エレベーターシャフトのガイドレール用アンカーボルトを
ナ、ナ、ナ、ナント、
自動的に打設
してくれる「R.I.S.E」(Robotic Installation System for Elevators)というロボットなのです。
ガイドレールを取り付けるためには、鉄筋コンクリートのエレベーターシャフト内にドリルで穴開けを行ったり、アンカーボルトを打設したりする必要がありますが、これまでは人力による過酷な作業が必要でした。
このロボットは、シャフト内の寸法を自動計測し、コンクリート中の鉄筋をレーダーで計測し、鉄筋を避けて穴開け位置を決めます。
そしてドリルで穴開けをすると、工具をドライバーに持ち替えて、アンカーボルトをねじ込むのです。
ロボットが通った後には、
アンカーボルトの列
ができるというわけです。
このロボットの開発により、アンカーボルト打設のQ(品質)、D(工期)、C(コスト)、S(安全)、E(環境)はそれぞれ、大幅にカイゼンできそうです。
下記のYouTube動画は、シンドラーが2019年4月に公開したものです。すでに2年以上も前に実用化されていたことになりますね。
ロボットアームというと、建設用の3Dプリンターや鉄骨への耐火被覆吹き付けロボットなどへの活用がありましたが、まさかエレベーターの取り付け工事にも応用できるとは驚きました。アイデア次第で、いろいろな施工の自動化に利用できそうです。