経営破綻の米・モジュール建築工場が“復活”! 同業他社が買収し、従業員も再雇用へ
2021年8月26日

管理人のイエイリです。

規格化された建物の部材を工場で大量生産し、現場に搬入して組み立てる「モジュール建築」の分野で急成長してきた米国のスタートアップ、カテラ(KATERRA。本社:カリフォルニア州メンローパーク)が、経営破綻したニュースは、2021年6月11日付けの当ブログ記事でもお伝えしました

建物の生産拠点を現場から工場に移し、機械化や省人化によって大幅な生産性向上を実現する新時代のビジネスモデルを採用し、日本のソフトバンクグループも21億ドル(約2300億円)もの出資を行っていたこともあって、日本の建築関係者にも衝撃のニュースでした。

しかも、カテラは今後の事業拡大に備えて、米国カリフォルニア州トレーシーに約5万4000平方メートルもの最新鋭工場を完成させたばかりだったのです。

米国カリフォルニア州トレーシーに建設されたカテラの最新鋭工場(以下の写真、資料:Courtesy of Volumetric Building Companies)

せっかくの新工場が経営破綻によって閉鎖されるのは、惜しいと思っていたところ、新しい展開がありました。

米東海岸に本拠を置く同業他社のボリューメトリック・ビルディング・カンパニーズ(Volumetric Buildings Companies。以下、VBC)が、

ナ、ナ、ナ、ナント、

この工場を買収

したことを、Facebookに投稿したのです。

カテラの工場買収を発表したVBCのFacebook公式アカウント

VBCの西海岸拠点として生まれ変わった工場内部

VBCもカテラと同様に、モジュラー建築のビジネスモデルを展開しています。

グループ内には設計を担当するVBC Studio(本社:マサチューセッツボストン)、工場生産を担当するVBC Manufacturing(本社:ノースカロライナ州ハムレット)、施工やコンサルティングを担当するVBC Construction(本社:ペンシルベニア州フィラデルフィア)を擁し、設計から工場生産、現場への輸送、施工までを自社グループでカバーする「垂直統合モデル」を採用しています。

買収した工場は、VBCの西海岸進出の拠点として、“居抜き”のまま稼働しているようです。2021年9月から窓や家具、テーブルの生産を始め、その後、床や屋根トラス、壁パネルの生産にも拡大していく予定です。

せっかくの最新鋭設備が無駄にならず、再び稼働したことはうれしいですね。

VBCのビル建設現場。複数の部屋を工場でモジュールとして製作し、現場に搬入して積み上げる工法を採用している

VBCが手がけたプロジェクトの例

設計から工場生産、現場への輸送・施工までを自社グループで一貫して手がける垂直統合モデルがVBCの強み。従来の工法に比べて工期は2分の1で済むという

復活したのは工場だけではありません。VBCは

工場の元従業員を募集

しており、2022年末までに150人を優先的に再雇用する広告を出しています。

こうなると、元従業員のスキルやノウハウまでも復活することになりますね。

カテラの元従業員を対象にした募集広告

コロナ禍などをきっかけに木材価格が急騰した「ウッドショック」も、米国では落ち着き始めているという報道もありますので、これからは木造のモジュラー建築ビジネスも安定してくるのでしょうか。

プレハブ化という、今後の建設業界に欠かせないビジネスモデルをトータルに採用したVBCのビジネス展開に、これからも目が離せませんね。

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