管理人のイエイリです。
規格化された建物の部材を工場で大量生産し、現場に搬入して組み立てる「モジュール建築」の分野で急成長してきた米国のスタートアップ、カテラ(KATERRA。本社:カリフォルニア州メンローパーク)が、経営破綻したニュースは、2021年6月11日付けの当ブログ記事でもお伝えしました。
建物の生産拠点を現場から工場に移し、機械化や省人化によって大幅な生産性向上を実現する新時代のビジネスモデルを採用し、日本のソフトバンクグループも21億ドル(約2300億円)もの出資を行っていたこともあって、日本の建築関係者にも衝撃のニュースでした。
しかも、カテラは今後の事業拡大に備えて、米国カリフォルニア州トレーシーに約5万4000平方メートルもの最新鋭工場を完成させたばかりだったのです。
せっかくの新工場が経営破綻によって閉鎖されるのは、惜しいと思っていたところ、新しい展開がありました。
米東海岸に本拠を置く同業他社のボリューメトリック・ビルディング・カンパニーズ(Volumetric Buildings Companies。以下、VBC)が、
ナ、ナ、ナ、ナント、
この工場を買収
したことを、Facebookに投稿したのです。
VBCもカテラと同様に、モジュラー建築のビジネスモデルを展開しています。
グループ内には設計を担当するVBC Studio(本社:マサチューセッツボストン)、工場生産を担当するVBC Manufacturing(本社:ノースカロライナ州ハムレット)、施工やコンサルティングを担当するVBC Construction(本社:ペンシルベニア州フィラデルフィア)を擁し、設計から工場生産、現場への輸送、施工までを自社グループでカバーする「垂直統合モデル」を採用しています。
買収した工場は、VBCの西海岸進出の拠点として、“居抜き”のまま稼働しているようです。2021年9月から窓や家具、テーブルの生産を始め、その後、床や屋根トラス、壁パネルの生産にも拡大していく予定です。
せっかくの最新鋭設備が無駄にならず、再び稼働したことはうれしいですね。
復活したのは工場だけではありません。VBCは
工場の元従業員を募集
しており、2022年末までに150人を優先的に再雇用する広告を出しています。
こうなると、元従業員のスキルやノウハウまでも復活することになりますね。
コロナ禍などをきっかけに木材価格が急騰した「ウッドショック」も、米国では落ち着き始めているという報道もありますので、これからは木造のモジュラー建築ビジネスも安定してくるのでしょうか。
プレハブ化という、今後の建設業界に欠かせないビジネスモデルをトータルに採用したVBCのビジネス展開に、これからも目が離せませんね。