管理人のイエイリです。
真っ暗なトンネルの内壁に映る影。下の写真は、先日、鹿島が発表したプレスリリースに含まれていたものです。
いったい何をしている写真かというと、GNSS(全地球測位システム)が使えない暗闇のトンネル内で、
ナ、ナ、ナ、ナント、
ドローンによる点群計測
を行っているところなのです。(鹿島のプレスリリースはこちら)
最近のドローン技術の進化には目覚ましいものがありますが、GNSSに依存する部分が多く、地下やトンネル内、屋内など人工衛星から送られてくるGNSSの電波が受信できない場所では、自動飛行や自律飛行が難しいという課題もありました。
そこで、GNSSの代わりに導入したのが、NEAR EARTH AUTONOMY(本社:米国ピッツバーグ)が開発した「Topaz」をカスタマイズした装置です。
Topazは、レーザー距離計によって自己位置を推定する「LiDAR SLAM」をベースに、画像によって自己位置を推定する「Visual SLAM」を併用することで、安定性や安全性、操作性を高めた高性能なシステムです。
鹿島は2019年12月に、2カ所のトンネル現場と1カ所の建築現場で、Topazを搭載したドローンで実証実験を行い、非GNSS環境下でも安定した自律飛行ができることを確認しました。
この実験結果をもとに、鹿島は独自のアルゴリズムを開発し、トンネルのような狭い暗所や障害物の多い地下工事の現場でも、安定して飛行できるようにしました。
そして点群データを使って飛行経路を計画し、自律飛行ができるかどうかを事前に確認できるシミュレーターによって、様々な環境下で安全に自律飛行ができるシステムを作り上げたのです。
鹿島はこのシステムを使って、2020年11月から、国内のトンネル工事現場で、
無人坑内点検を実施
し、トンネル壁面の異常や漏水、ガス漏れの有無などを調査しています。
今後、鹿島はトンネルや都市部の地下工事現場など、GNSSが使えない現場での調査や点検に、このシステムを搭載したドローンを積極的に活用することを検討しています。
また、計測した点群データとBIM/CIMデータを重ね合わせることで、進ちょく状況の見える化や施工管理の効率化を行うことも目指します。
日本の建設業におけるドローン活用技術の進化には、驚かされますね。