管理人のイエイリです。
段差や障害物の多い建設現場を、縦横無尽に移動できるとロボットとして、四足歩行ロボットの活用に注目が集まっています。
中でも、ボストンダイナミクス社(Boston Dynamics)の「Spot」は、鹿島が世界で初めてトンネル工事現場に導入し、坑内の撮影や計器の点検を行うなど、各社で活用実績があります。(詳しくは、2020年2月26日付けの当ブログ記事を参照)
そして本日(2021年10月26日)、測量機器メーカー大手のニコン・トリンブルから驚くべきニュースが飛び込んできました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
Spotと3Dスキャナーを合体
した新製品を発売したというのです。
米国・Trimble社とボストンダイナミクスは、建設現場などでの測量を自動化するため、2020年10月に戦略的な提携を行いました。
この提携に基づき、ニコン・トリンブルはその第一弾として、同社の3Dレーザースキャナー「Trimble X7」をSpotに搭載し、日本国内での販売を開始したものです。
Spotで点群計測を自動的に行い、現場の「デジタルツイン」を自動作成するため、「X7」の制御ソフト「FieldLinlk」でSpotも統合制御できるようにしました。
ソフトで通過点(ウェイポイント)を事前に設定すると、Spotがその経路にしたがって自律歩行し、点群データを自動的に取得できます。
複数の地点で計測した点群データは、移動中にタブレット上でリアルタイムに合成されるので、計測を中断する必要はありません。
定期的に設計との検証や、施工進捗のレポートを行うようにスケジュールできるので、点群計測の効率性と、現場やオフィスでのリアルタイムな現況データ分析の効率が飛躍的に向上します。
このほか、3Dスキャナーを10度まで傾けても自動整準する機能や、自動的にキャリブレーションするなど、点群計測を自動化する機能の数々が盛り込まれています。
Spotの充電が切れたときは、自動的にドッキングステーションまで移動し、
自らしゃがんで充電
する機能も搭載されました。同時にドッキングステーションから、収集したデータをネットワーク経由でオフィスに転送することもできます。
気になるお値段ですが、オープン価格となっています。Spotだけで約800万円と言われていますので、これに3Dレーザースキャナー「X7」の価格などを加えると、相当、高額になると思われます。
しかし、これまで数人で行っていた点群計測を、このロボットが定期的に行ってくれると大きな省人化を実現できます。そして、高品質・リアルタイムな現場のデジタルツインによって、多くの人々が様々な業務を「移動のムダ」なく行えるようになります。
その膨大なメリットを考えると、十分に元がとれそうですね。