管理人のイエイリです。
茨城県つくば市にある奥村組技術研究所では、国土交通省が推進する「i-Construction」などに関連したICT(情報通信技術)やロボット、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)活用による設計・施工の効率化、免震技術などの研究開発が日々、行われています。
VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などXR分野のスタートアップ企業、Synamon(シナモン。本社:東京都品川区)は、奥村組と共同で、
ナ、ナ、ナ、ナント、
研究所をメタバース化
してしまったのです。(Synamonのプレスリリースはこちら)
メタバースとは、VR空間内に複数の人が集まり、オンラインでコミュニケーションできる場のことです。ざっくりと言えば、VR空間の中でオンライン会議を行えるようにしたシステムです。
今回のメタバースは、リアルな技術研究所をVR空間として再現したため、現場の建物を前に行っていた打ち合わせなどが、そのままオンラインで行えるのが特徴です。
同研究所では様々な実験が行われていますが、それに伴って施設の増改築工事も年間を通じて行われています。
これまでは現場に関係者が集合して、「実物大モックアップ」や「縮小版モックアップ」など模型ベースでの検討が主流でしたが、今後はメタバース空間に関係者が集合して、VRを使った検討が行えるようになりました。
今回のメタバース作成では、技研の維持管理用BIMモデルと、SynamonのVRサービス「NEUTRANS」を活用しました。
「NEUTRANS」上でオンライン会議を行っているイメージ
メタバースのいいところは、建物の現在の姿を遠隔地からでもVRによってリアルに実物大で見られるだけでなく、構造部分などを“透視”したり、
増改築後の姿を見たり
できることです。
今回は7棟ある施設の中から、室内環境実験棟の室内環境実験室の改修工事について、VRシミュレーションも行いました。
この実験室では、日射によるオフィスなどの快適性や省エネルギー性などを検証するため、室内にアルミサッシを増設したり、外部にアルミルーバーを増設したりする改修工事が予定されています。
そこでこの改修工事のBIMモデルから、メタバース上の建物を“バーチャル改修”しました。この空間に 関係者が集まり、実験内容の確認や、設計・施工の検討を行うことで、実験の検討精度を向上させるとともに、設計・施工の手戻りを削減することが期待できます。
建設業とメタバースは非常に親和性が高いと言えます。オンライン会議的に「移動のムダ」を削減して生産性向上や、VRで実物大の建物や構造物を確認する「検討の高レベル化」による品質の向上が図れるからです。
BIMやCIMを導入している企業は、オンライン会議を一歩進めて「メタバース」会議に取り組んでみてはいかがでしょうか。