管理人のイエイリです。
最近、海洋や港湾の工事に伴う調査・計画や設計、施工、維持管理などを効率化するため「港湾DX(デジタル トランスフォーメーション)」の動きが活発化してきました。
例えば、島国である日本では洋上風力発電のポテンシャルが高く、港湾法の改正や、再エネ海域利用法の制定など、洋上風力発電を促進するための法整備が進められてきました。
また、国土交通省が推進する「i-Construction」施策では、港湾分野を対象にしたICT施工実施要領の策定が進められています。
こうした動きに対応して、測量大手のパスコは、陸上から海底に至るまで、シームレスな3D地形データを計測する体制を強化するため、
ナ、ナ、ナ、ナント、
最新のマルチビーム測深機
を追加導入し、2021年12月から運用を始めたのです。(パスコのプレスリリースはこちら)
洋上風力発電の設置方法には、海底に基礎を設置する「着床式」と、洋上に浮かべる「浮体式」があります。
着床式では設計・施工のために、浮体式では係留アンカーの設置場所の傾斜を把握するために、海底地形の把握が欠かせないため、3D海底地形データが必要となります。
また、港湾分野のi-Construction でも、調査・計画、設計・施工、維持管理などでリモート型の働き方への転換や生産性向上を実現するうえで、3D海底地形データが重要な基礎データとなってきました。
マルチビーム測深機は、船から扇状に音響ビームを発射し、海底からの反射波を受信することで、海底を面的に計測する機器です。
今回、新たに導入した「SeaBat T50-P」型測深機は、
450mまでを測深
でき、分解能は6mmと高性能を誇っています。また、ノイズ低減機能も搭載しているため、作業の効率化や品質向上の点でも優れています。
今回の導入により、パスコの水域での計測体制は、航空レーザー測深機1台、ドローン搭載型グリーンレーザー2台、音響測深機11台と強化されました。
地上では静岡県などの自治体が高精細な点群データを公開しており、工事現場の現況把握に大いに役立っています。
海底や河底の地形は、そもそも肉眼で見えないだけに、こうした高精度な点群データがデータベース化され、手軽に入手できると、港湾・海洋工事の進め方も大きく変わってきそうですね。