九州地整がメタバースで川づくりする全国初の実践マニュアルを作成! ソフトやデータも付属
2022年1月27日

管理人のイエイリです。

国土交通省 九州地方整備局の九州技術事務所やインフラDX推進室、河川部では、土木研究所(茨城県つくば市)と連携して、ゲームエンジンを使ったインフラ整備の設計手法を開発してきました。

これまでのようにCADや図面で設計するのではなく、ゲームエンジン内の仮想空間で河原の3Dモデルをゴシゴシこすってワンドを作ったり、水辺に植物を配置したりしながら、完成イメージに近づけていく設計手法です。

その内容は、九州地整がYouTubeに公開した「VRを使った水辺空間構築」という動画などで、わかりやすく紹介されています。(詳しくは、2020年3月31日付けの当ブログ記事を参照

「VRを使った水辺空間構築」(特記以外の資料:国土交通省九州技術事務所)

とても直感的な川のデザイン方法なので、使ってみたい人も多いでしょう。そんな人に朗報です。

九州地整のインフラDX推進室と九州技術事務所はこのほど、この手法を使って川づくりを行いたい人のために、

ナ、ナ、ナ、ナント、

操作マニュアル(案)

を作成し、近く、公開予定なのです。(九州地方整備局のプレスリリースはこちら

「ゲームエンジンを用いた川づくりツールの操作マニュアル(案)」の表紙

直感的な操作で護岸を作成しているところ

作成したメタバース空間内に関係者がバーチャル集合し、協議しているイメージ

このマニュアル(案)を使うと、上記の動画のように、直感的な操作で護岸などを作成したり、その仮想空間に関係者が“バーチャル集合”してメタバース(仮想世界)会議を行ったりできるのです。

もちろん、メタバースを用いた川づくりのマニュアルは日本で初めてのものです。

具体的な操作手順はまず、航空写真測量やALB(航空レーザー測深機)などで計測した点群データを地形データ(GeoTIFF形式)化し、さらにゲームエンジンで使える16ビットPNG形式に変換します。

そのデータをゲームエンジンに取り組み、地形を編集して作り、最後にBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)ソフトなどで使える「GepTIFF形式」に戻す、というものです。

ゲームエンジンで河川空間をデザインする流れ

といっても、実際にこの操作を行うためには、地形データを変換するツールや、多自然川づくり用に環境設定したテンプレートファイルなどを用意する必要があります。

しかし、ご安心ください。このマニュアル(案)には、

変換ソフトやテンプレート

のデータも付属しているのです。

ソフト(DemComverter.zip)は、オープンソースのGIS(地理情報システム)ソフト「QGIS」用のプラグインソフトで、点群データから任意の範囲を切り出して、ゲームエンジンで使える形式や、河道の数値シミュレーションソフト「iRic」で読める形式に変換できます。

また、ゲームエンジン用テンプレート(river_template_ver01.zip)は、多自然川づくりでの検討に必要となる植物や護岸などの3Dオブジェクトなどをあらかじめ設定してあります。

このほか、各作業をわかりやすく動画で解説した「マニュアル(案)動画」も付いています。

テンプレートには護岸の3Dオブジェクトなど構造物のライブラリーも含まれている

植生の3Dオブジェクトの例。フクドの写真(上)をもとに作られた植生モデル(下)

これらのマニュアルやツールは、近くダウンロードできるようになる見込みです。これだけ親切なマニュアルやツールが、ワンセットで用意されていると、ゲームエンジンによる川づくりは飛躍的に普及しそうですね。公開が待ち遠しいです。

【追加情報】

九州地整は上記のマニュアルをツールを公開しました。詳しくは下記のサイトで。
http://www.qsr.mlit.go.jp/infradx/indexge.html

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