管理人のイエイリです。
国土交通省 九州地方整備局の九州技術事務所やインフラDX推進室、河川部では、土木研究所(茨城県つくば市)と連携して、ゲームエンジンを使ったインフラ整備の設計手法を開発してきました。
これまでのようにCADや図面で設計するのではなく、ゲームエンジン内の仮想空間で河原の3Dモデルをゴシゴシこすってワンドを作ったり、水辺に植物を配置したりしながら、完成イメージに近づけていく設計手法です。
その内容は、九州地整がYouTubeに公開した「VRを使った水辺空間構築」という動画などで、わかりやすく紹介されています。(詳しくは、2020年3月31日付けの当ブログ記事を参照)
「VRを使った水辺空間構築」(特記以外の資料:国土交通省九州技術事務所)
とても直感的な川のデザイン方法なので、使ってみたい人も多いでしょう。そんな人に朗報です。
九州地整のインフラDX推進室と九州技術事務所はこのほど、この手法を使って川づくりを行いたい人のために、
ナ、ナ、ナ、ナント、
操作マニュアル(案)
を作成し、近く、公開予定なのです。(九州地方整備局のプレスリリースはこちら)
このマニュアル(案)を使うと、上記の動画のように、直感的な操作で護岸などを作成したり、その仮想空間に関係者が“バーチャル集合”してメタバース(仮想世界)会議を行ったりできるのです。
もちろん、メタバースを用いた川づくりのマニュアルは日本で初めてのものです。
具体的な操作手順はまず、航空写真測量やALB(航空レーザー測深機)などで計測した点群データを地形データ(GeoTIFF形式)化し、さらにゲームエンジンで使える16ビットPNG形式に変換します。
そのデータをゲームエンジンに取り組み、地形を編集して作り、最後にBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)ソフトなどで使える「GepTIFF形式」に戻す、というものです。
といっても、実際にこの操作を行うためには、地形データを変換するツールや、多自然川づくり用に環境設定したテンプレートファイルなどを用意する必要があります。
しかし、ご安心ください。このマニュアル(案)には、
変換ソフトやテンプレート
のデータも付属しているのです。
ソフト(DemComverter.zip)は、オープンソースのGIS(地理情報システム)ソフト「QGIS」用のプラグインソフトで、点群データから任意の範囲を切り出して、ゲームエンジンで使える形式や、河道の数値シミュレーションソフト「iRic」で読める形式に変換できます。
また、ゲームエンジン用テンプレート(river_template_ver01.zip)は、多自然川づくりでの検討に必要となる植物や護岸などの3Dオブジェクトなどをあらかじめ設定してあります。
このほか、各作業をわかりやすく動画で解説した「マニュアル(案)動画」も付いています。
これらのマニュアルやツールは、近くダウンロードできるようになる見込みです。これだけ親切なマニュアルやツールが、ワンセットで用意されていると、ゲームエンジンによる川づくりは飛躍的に普及しそうですね。公開が待ち遠しいです。
【追加情報】
九州地整は上記のマニュアルをツールを公開しました。詳しくは下記のサイトで。
http://www.qsr.mlit.go.jp/infradx/indexge.html