管理人のイエイリです。
少子高齢化が進む日本では、多くのベッド数を持つ医療施設の縮小と入院日数の短縮化が進みつつあります。
今後は、入院施設が19床以下のクリニック(診療所)が、地域医療の中心としてますます重要になっています。
お医者さんが、いざ、開業しようとしても、自分の専門性や方向性にあったクリニックの建物を建設するまでには、多くのプロセスが必要です。多忙な業務に追われる身としては、設計者とじっくり話し合う時間もなかなかとれません。
そこで、野原ホールディングスのReconext(リコネクスト)カンパニーは、多忙な開業希望医が自分の要望を実現しつつ、医療スタッフや来院患者の双方に優しい「クリニック建築」を短期間で実現できるサービスを始めることになりました。
その名も「コネクトクリニック」というもので、
ナ、ナ、ナ、ナント、
BIM設計をパッケージ化
したサービスなのです。(野原ホールディングスのプレスリリースはこちら)
コネクトクリニックでは、クリニック建築で使われる建材や設備のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)オブジェクトを用意しており、これらを仮想空間にレイアウトしてシミュレーションできます。
従来の平面図に比べて、3Dモデルなので建物のデザインや広さ、動線がわかりやすく、お医者さん自身が積極的に設計に参加できます。
また、BIMオブジェクトには仕様や価格情報も内蔵しているので、予算に合わせて空間を提案できるほか、待合室や診察室などの諸室ごとに正確なコスト算出も行えます。
このサービスによって開業準備期間は従来に比べて10%削減できるとのことです。
クリニック建築の設計でもう一つ、重要なのは、“お客さま”である患者が快適に感じられるかどうかです。
無機質な医療機器が並ぶクリニックでは、どうしても冷たい感じがしたり、くつろげなかったりしがちですからね。
そこで、この設計サービスでは、
患者目線の印象も体験
できるようになっています。
患者目線で見た受付や待合室、そして診察室やレントゲン室などのイメージは、医療従事者の動線から見たイメージと違うことがあるからです。
そこで、同じ院内を患者目線と医療従事者目線でそれぞれウオークスルーすることで、同じデザインをそれぞれの立場で見てみるというBIMならではの検証も行えるのです。
気になるお値段ですが、BIMモデル作成費は、クリニックの規模によって異なるとのことです。同社では、設計後の工事も対応可能です。
この設計サービスは、2022年2月から関東圏で開始し、同年12月までに10件の採用を目指しています。
野原ホールディングスは子会社のBIMobjectを通じて、実際に市販されている建材や家具、医療機器などのBIMオブジェクトを提供しており、豊富な製品情報を持っています。(詳しくは、2018年1月9日付の当ブログ記事を参照)
そのリソースをうまく生かした、リアリティーの高いBIM設計ビジネスと言えそうですね。