点群図面と消えるペンキ! オリパラ・マラソン競技の路面表示が突如現れ、消えた秘密が明らかに
2022年1月21日

管理人のイエイリです。

2021年夏、札幌と東京で開催された東京オリンピック・パラリンピックのマラソン競技では、コース上の路面にピンクや緑で最短経路を示す「ガイドライン」と呼ばれる路面表示が設置されました。

マラソン競技で設置された緑色のガイドライン(以下の写真、資料:クライス)

関係者輸送用のバスルート表示

このガイドラインの施工を担当したのが、北海道技建(本社:北海道小樽市)という会社です。

施工範囲は札幌市のほか東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県にまたがり、道路使用許可は約60の自治体と約70の警察署に対して行う必要がありました。大会直前にラインを引き、そして、大会が終わった後は、すぐにラインを消す作業もあります。

そのスピーディーな作業の様子がこのほど、明らかになりました。まずはラインの施工を行うための図面ですが、

ナ、ナ、ナ、ナント、

点群のオルソ画像

をそのまま図面化したのです。

白黒オルソ画像を利用した図面

図面作成に先立って行った600kmにも及ぶMMS測量

図面の拡大図。オルソ画像に寸法線を入れただけだが、とてもわかりやすい

これらの図面を作成するに当たり、同社はMMS(モービル・マッピング・システム)で総延長約600kmにもわたる点群データと映像を取得しました。

そしてバスマーク路面表示900カ所、ピンク色路面表示8km、オリンピックマラソン競技14km、パラリンピックマラソン競技42km分の膨大な枚数の図面を、真上からみたモノクロ点群(オルソ画像)に寸法線を入れるなど簡単な加工で作れるようにしたのです。

これで図面作成にかかる時間は大幅に削減されました。

ラインを引く作業は、約50人が3班から8班に分かれて行いました。Google Mapsの「マイマップ機能」や、Web GISを使ってクラウド上で図面や交通規制図、着工前や完成写真を共有し、現場ではタブレットやスマートフォンでこれらの情報を見ながら施工しました。

タブレットによる施工担当者の情報共有

ラインやバスマークを施工しているところ

これらのラインやマークは、通常の道路マーキングのような立派な仕上がりであることが、テレビの中継を見ていてもよくわかりましたね。

そして、不思議なのはあれだけしっかり引かれていたラインが、競技後、一夜にしてきれいさっぱりと消えたことです。

その秘密は、このライン引きに使われたのが、

“消えるペンキ”

だったからなのです。

英国製の「RENU WB」という水性の路面表示用塗料で、ロンドンオリンピックでも使用実績があります。

消すときは「リムーバー」という専用の液体を噴射して溶かし、洗車機程度の水圧で洗浄すると、舗装面に全くダメージを与えずに消えるのです。洗浄水もその場で回収するので、環境にも優しい工法です。

特に東京で行われたパラリンピックでは、競技当日の交通規制が残っている間に、消去するという世界初のスピード施工を実現しました。

競技終了後、リムーバーを塗布する作業車

リムーバー塗布後のライン

後は洗浄水とともに吸い取るだけできれいに消える

消す前(上)と消した後(下)の路面。「TOKYO2020」の文字部分は、従来工法で施工されたため、痕跡が残っている

2012年のロンドンオリンピックでの「RENU WB」の施工例。画像をクリックすると動画に飛びます(動画:Courtesy of RENU TPS Limited)

今回の工事は、オルソ画像による図面作成というアイデア、クラウドによる施工管理という情報管理、そして消えるペンキという新材料を駆使して、究極の生産性向上を実現しました。

これからの建設業のあり方を、示しているようなプロジェクトと言えるでしょう。

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