日本化薬がドローン用緊急パラシュート発売! エアバッグ技術で墜落時にパッと開く
2022年2月16日

管理人のイエイリです。

建設業界でも多く使われているドローン(無人機)の技術進化はめざましく、2022年度中は有人地帯での目視外飛行(レベル4)が実現する予定です。

そんな中、ドローンの安全対策の技術開発も着々と進んでいます。

日本化薬(本社:東京都千代田区)は昨日(2022年2月15日)、ドローンの社会実装に不可欠な安全部品「PARASAFE」を発売したことを発表しました。

ドローン用の安全部品「PARASAFE」(以下の写真、資料:日本化薬)

ドローンに搭載したところ

いったい、この部品は何なのかと言うと、

ナ、ナ、ナ、ナント、

緊急パラシュート

なのです。(日本化薬のプレスリリースはこちら

ドローンが墜落し始めると、緊急パラシュートが放出される

緊急パラシュート「PARASAFE」でゆっくり降下するドローン

今回、発売されたパラシュート(形式:PS CA12-01)は、直径130mm×高さ154mmのコンパクトなケースに収まっており、上空で開くと11m2もの面積を持つパラシュートになります。

総重量25kgまでのドローンに取り付けることができ、降下速度は毎秒6mと、パラシュートなしの場合に比べると6分の1になるそうです。

では、どのくらいの安全効果があるのでしょうか。

同社は2021年10月26日、国家戦略特区に指定されている兵庫県養父市で、「PARASAFE」の実証実験を行いました。(日本化薬のプレスリリースはこちら

実験には、プロドローン製の汎用型ドローンにPARASAFEを搭載した機体(総重量9.07kg、サイズ700mm×700mm×560mm)を使いました

上空40mでホバリングした後、意図的にモーター電源を切断し、プロペラを停止させたところ、1秒後にパラシュートが射出され、ドローンは水平に近い姿勢を保ったまま、ドローンの脚(スキッド)から無事に軟着陸することができました。

パラシュートで軟着陸した後のドローン。大きな破損や欠損などはみられなかった

折れやすいプロペラにも破損やひずみがなく、再利用できる状態だった

バッテリー部分は異常発熱や発火はなく、配線類にも断線などはみられなかった

落下時の高度変化グラフ。パラシュートなしの場合の理論値(水色)に比べると、パラシュート使用時(オレンジ色)は高度変化が緩やかになり、降下速度は6分の1以下になった

上空40mからの墜落時に、パラシュートで安全に降下するためには、パラシュートもすぐに開く必要があります。

そこで使われたのが、日本化薬が得意とする

エアバッグの火薬技術

です。

パラシュートの収納ケースの中には、ごく少量の火薬が入っており、墜落を検知するとこの火薬でエアバッグのようにパラシュートを射出するのです。火薬類取締法の適用を受けない火工品に指定されているので、使いやすくなっています。

ただ、地上での“暴発”には気を付けたいですね。そこで起動装置には安全ピンが付いており、地上での作業時には通電回路を遮断しているので、万一、ドローンを落っことしたりしても安全です。

起動装置には安全ピンが付いており、地上での作業時に誤作動することを防ぐ。「Remove before Flight」と書かれた赤いタグをぜひ付けておきたいですね

日本化薬では今回の25kg用のほか、15kg、50kg、150kgのドローンに適用する製品を開発中とのことです。

緊急パラシュートが発売されたことで、産業用ドローンの安全性や安心感は大幅に高まり、ドローンの活用を大きく後押ししてくれそうですね。

【追記】
日本化薬によると、航空法では、パラシュートなどの安全装置に使われる火薬類は危険物として扱われないという規定があるので、危険物運搬承認は必要ないとのことです。

また、1度使用したら、使い捨てです。その理由は火薬を使っていることと、パラシュートの折りたたみ方にノウハウがあるからだそうです。

気になるお値段ですが、個数によりますが「数十万円」のオーダーになるとのことでした。

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