管理人のイエイリです。
2021年10月のある日、千葉県内の国道127号 勝岩トンネルの入り口に多くの技術者が集まっていました。
トンネルの入り口付近には、1台の高所作業車が止まっており、作業台にはトンネルの内壁に向けて何やら装置が取り付けられているようです。
この装置には、
ナ、ナ、ナ、ナント、
打音検査とひび割れ検出
を行うユニットが搭載されているのです。(東急建設のプレスリリースはこちら)
このシステムは、トンネル全断面点検・診断システム「iTOREL(アイトーレル)」というものです。
これまで人間が覆工コンクリートを目で見て、「コツコツ」とハンマーでたたき、その音を聞いて判断していたコンクリートの浮きやひび割れの検出を自動化することができます。
定量的に経時的な変化を把握できる点検データが取得できるほか、点検から帳票作成までの作業効率を向上させることを目的に開発されました。
この日は勝岩トンネルを使って、その性能を現場でどれだけ発揮できるかを確かめる検証が行われました。
検証の結果、点検システムを使わない従来の方法に比べて、点検作業に必要な人数が
最大4割も削減
でき、帳票作成などの内業作業が18.5%削減できることが確認されました。
「iTOREL」は、2014 年から 2018 年度にかけて実施された内閣府の「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)」で開発されました。(東急建設のプレスリリースはこちら)
当初はトンネル内をまたぐガントリー型の機械でしたが、2019年4月に東急建設 土木事業本部に「インフラアセットマネジメント」を推進する組織が立ち上がり、実用化に着手しました。
そして2021年4月には「高所作業車型点検システム」が開発され、ガントリー型の8倍以上のスピードで点検できるようになったのです。
確かに、ガントリー型だと大がかりなので、移動や点検操作に手間ひまがかかりそうですね。その点、高所作業車型はアームが自由自在に動くので軽快に点検できそうです。
東急建設では今後、トンネル点検企業と連携して、導入コストのさらなる削減など運用面の強化を図り、点検業務の効率化や高度化を目指すことにしています。