管理人のイエイリです。
工事現場で欠かせないのが、コンクリート打設前に行う鉄筋の配筋検査です。
これまでは、工事写真が施工の“証拠品”だったので、鉄筋のピッチなどがはっきり写るように、鉄筋にマーカーを取り付けたり、検尺ロッドを添えたりしたうえ、黒板を入れてカメラで撮影するという、数人かがりの作業でした。
この作業を省力化するため、清水建設とシャープは3眼カメラを使った「リアルタイム自動配筋検査システム」を開発しました。
配筋状況を3方向から撮影し、奥行きも含めた鉄筋の3Dデータを抽出・分析する作業をわずか7秒で行えるものです。(詳細は2020年3月30日付の当ブログ記事を参照)
その結果、配筋検査の所要時間は、
ナ、ナ、ナ、ナント、
約75%も軽減
されたのです。
このシステムが2年前に開発されたころは、タブレットPCにカメラなど様々な機器やケーブルが外付けされ、ゴツゴツした感じでした。
その後、両社は、建設関連機器のレンタルなどを行うカナモト(本社:北海道札幌市)と共同で、このシステムを2022年度上半期にも事業化するため、製品開発を進めてきました。その結果、機器の外観もかなりスマートなものになってきました。
この配管検査システムは2021年6月以降、土木学会賞の「技術開発賞」をはじめ、様々な賞を受けてきましたが、このほど内閣府が主催する「第4回 日本オープンイノベーション大賞」で、
国土交通大臣賞を受賞
を受賞し、2022年2月22日に表彰式が行われました。(国土交通省のプレスリリースはこちら)
国交省は、このシステムがBIM/CIMにも接続できる発展性や、配筋検査の遠隔臨場による発注者側の生産性向上、そして安全性の向上も評価しています。
●「リアルタイム自動配筋検査システム」の受賞一覧
受賞日 | 受賞名 | 主催 | |
2021年 | 6月11日 | 令和2年度 土木学会賞『技術開発賞』 | (公社)土木学会 |
6月17日 | 令和3年度 日本建設機械施工大賞『最優秀賞』 | (一社)日本建設機械施工協会 | |
7月12日 | 2021年度 エンジニアリング協会『功労者賞』 | (一財)エンジニアリング協会 | |
9月28日 | 第23回 国土技術開発賞『入賞』 | (一財)国土技術研究センター、(一財)沿岸技術研究センター | |
10月12日 | 令和3年度 田中賞選考委員会 かけはし賞 | (公社)土木学会田中賞選考委員会 | |
2022年 | 2月22日 | 第4回 日本オープンイノベーション大賞『国土交通大臣賞』 | 内閣府 |
現場のニーズを知りつくした建設会社が主導して開発したシステムが、製品化されて誰でも「買って使える」ようになることで、建設DXも中小の建設業にも身近なものになっていきそうですね。