ライカジオシステムズが埋設管を自動的に3D化! 高性能地中レーダーとAI解析クラウドを発売
2022年9月15日

管理人のイエイリです。

道路や歩道の工事関係者にとって、水道管やガス管など埋設管を“見える化”することは、長年の悲願といっても過言ではありません。

というのは、施設台帳などの図面と実際の埋設管の位置が違っていることが多く、せっかく注意深く試掘してその場所になかったり、逆に思わぬところに埋まっていて建機で配管破裂事故を起こしたりすることがあるからです。

そんな方々に朗報です。ライカジオシステムズ(本社:東京都港区)は、2022年9月7日、高性能な地中レーダーシステム「Stream DP」を発売しました。

高性能な地中レーダーシステム「Stream DP」による現場の計測風景(以下の写真、資料:ライカジオシステムズ)

高性能な地中レーダーシステム「Stream DP」による現場の計測風景(以下の写真、資料:ライカジオシステムズ)

この手押し車のようなマシンを一方向に進めるだけで、

ナ、ナ、ナ、ナント、

縦・横の配管や空洞

を発見することができるのです。(ライカジオシステムズのプレスリリースはこちら

地中を高密度でスキャンできる「Stream DP」。台車の中には水平偏波11チャンネル、垂直偏波19チャンネルの計30本ものアンテナが4.5cm間隔で内蔵されている。サイズは116×82cmでシステム全体の重量は42kg

地中を高密度でスキャンできる「Stream DP」。台車の中には水平偏波11チャンネル、垂直偏波19チャンネルの計30本ものアンテナが4.5cm間隔で内蔵されている。サイズは116×82cmでシステム全体の重量は42kg

Stream DPの台車部分には、地中に向けて電磁波を送受信するアンテナが30本も内蔵されているほか、「EsT(Equalized scrambled Technology)」という技術によって従来の10倍のスピードで地中を高速サンプリングします。

また、「マルチゲインブースト」という機能で微弱信号を均等化し、スクランブル技術でこれまではノイズによって計測できなかった深いエリアまで探索します。

その結果、従来は周波数600MHzのアンテナで1.5~2mまでしか測れなかったのが、2.5~4m程度まで測れるようになりました。

従来は計測できる深さが1.5~2mまでだった(左)が、Stream DPでは2.5~4mまでの深さにある埋設管や空洞が発見できるようになった(右)

従来は計測できる深さが1.5~2mまでだった(左)が、Stream DPでは2.5~4mまでの深さにある埋設管や空洞が発見できるようになった(右)

地中レーダーに映る埋設管は、おわんを伏せたような形の画像として現れます。これまでは人間の目で埋設管や空洞を見分けて、図面上に深さや位置をプロットしていました。

今回、Stream DPと同時発売された解析ソフト「iQMAP」に地中レーダーのデータを読み込ませると、深さごとに反射波の強さを色分けした「トモグラフィ断層図」(水平断層図)として、わかりやすい図を自動作成してくれます。

この図に、配管図を挿入すると簡単に埋設管の図面が作れます。

深さごとに反射波強度を色分け表示するトモグラフィ断層図

深さごとに反射波強度を色分け表示するトモグラフィ断層図

さらにスゴいのは、オプションのAI(人工知能)解析サービス「AiMAP」を使うと、探査した

地中全体を3D化

してくれるのです。あとは、ここに埋設管データを入れるだけで、埋設管の現況3Dモデルが完成します。

AiMAPによってAI解析した埋設管のデータを、トモグラフィ断層図上に表示したところ

AiMAPによってAI解析した埋設管のデータを、トモグラフィ断層図上に表示したところ

埋設管を地中レーダーとAIで3Dモデル化するシステムとしては、戸田建設、富士通、きんそくが開発しているシステム(2022年5月24日付けの当ブログ参照)や、大規模なものでは日立製作所と応用地質が展開している「地下可視化サービス」(2022年7月22日付けの当ブログ参照)などがあります。

ライカジオシステムが今回、発売した地中レーダーとクラウドサービスは、「買って使える」という小回り感がいいですね。

(Visited 1 times, 1 visits today)

Translate »