管理人のイエイリです。
杭打ち現場では、1本の杭を打つために、杭打ち機やクローラークレーン、バックホーなど数台の重機が一組になって、穴の掘削や既製杭の吊り下ろし、周辺の土砂搬出などを連携して行います。
そのため、数十台の重機が稼働する現場では、どの重機が今、どこにいて、どんな作業をしているのかを把握するだけでも手間ひまがかかります。
そこで五洋建設は、応用技術、ソフトバンクと共同で、現場のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)モデル上に重機の位置と杭の施工状況をリアルタイムに投影する技術を開発しました。
「いまどきそんなの、簡単じゃない」とお思いの方もおられるでしょうが、各重機の位置は、
ナ、ナ、ナ、ナント、
RTK-GNSSで高精度
で表示されているのです。(五洋建設のプレスリリースはこちら)
RTK-GNSSというと、GNSS(全地球測位システム)衛星から送られてくる電波を、基準局と呼ばれる別の場所で受信した電波で補正し、位置精度をセンチメートル単位まで高める測位技術です。
その証拠に、冒頭の図をよくみると、打設を完了した杭の高さが、杭によって微妙に違っているのがわかります。
RTK-GNSSのシステムには、価格に定評のあるソフトバンク「ichimill」(2020年8月17日付けの当ブログ参照)を使用しました。
五洋建設は、この技術を「五洋建設統合施工管理システム PiCOMS」(ピーコムス)に実装し、大型物流施設現場で実証を行いました。
BIMモデル上に表示した各重機の位置は、現場事務所や作業員休憩所の大型モニター、各種タブレット端末に表示することができます。
このほか重機の稼働時間の算出や、工事期間中の重機の位置と稼働時間のデータを収集することも可能です。
このシステムによって、最大20台の重機が稼働する杭工事現場では、情報収集が自動化され、工事関係者間でリアルタイムな情報に基づいた打ち合わせが可能になったため、
現場負担が5分の1
に軽減できることが確認できました。
今後、五洋建設では、データを蓄積・分析することで、重機の配置計画や稼働状況を考慮した、効率的な施工計画の立案や生産性向上を目指し、各現場に展開していく予定です。
また、重機の実稼働時間からCO2排出量を自動算定し、「現場CO2排出量の見える化」にも取り組んでいくとのことです。