東急建設がARベンチャー、Cellidに出資!BIM/CIMと空間解析をかけ合わせる狙いは?
2022年12月19日

管理人のイエイリです。

現実の風景の上に、3Dモデルや図面などを重ねて見るAR(拡張現実)は、建設業でも出来形管理や景観検討、施工プロセスの検討などを効率化する技術として注目されています。

AR関連の事業を展開するベンチャー企業、Cellid(本社:東京都港区)は、ARグラスに使われる世界最大級の広視野角を持つシースルー・ディスプレーや超小型プロジェクター、空間解析ソフトなどの技術を持っています。

同社は視野角(FoV)が60度でフルカラー、そしてメガネ型に適した厚さ1.2mmの薄さを実現できるWaveguide方式ディスプレーを開発し、2022年11月からサンプルの販売を開始し、同12月1日から東京オフィスでデモを開始しました。

デモ用のメガネ型モックアップ(特記以外の写真、資料:Cellid)

デモ用のメガネ型モックアップ(特記以外の写真、資料:Cellid)

同社のデバイスや技術に注目した東急建設は、このほど、

ナ、ナ、ナ、ナント、

Cellidに出資

したことを発表したのです。(東急建設のプレスリリースはこちら

Cellidの強みは、軽くて高性能なARグラスを実現する高度なハードウエア技術と、ARグラスのアプリケーションに欠かせないビジュアルSLAMソフトを自社開発し、自らARソリューションを提供できることにあります。

超薄型メガネ型ARデバイスの構造

超薄型メガネ型ARデバイスの構造

シースルーディスプレーと超小型プロジェクターを組み合わせたディスプレーモジュール

シースルーディスプレーと超小型プロジェクターを組み合わせたディスプレーモジュール

大手調査会社によると、ARグラスの市場はVR(仮想現実)より遅れて、今後、じわじわと成長し、2027年には5000万台、547億ドル(約7兆5000億円)というビッグビジネスになることが予想されているそうです。

東急建設は、2030年までの長期経営計画で「デジタル技術」を競争優位の源泉に掲げ、建設事業のデジタルシフトと新たなビジネスモデルの構築に取り組んでいます。

今回の出資によって、BIM/CIMをはじめとしたデジタル技術と、ビジュアルSLAMを掛け合わせることによる

建設事業のDXを推進

するほか、DXソリューションを共同開発、販売することを見据えてCellidとの連携を深めていきます。

2022年度内には、ビジュアルSLAMを活用したDXソリューションのPoC(概念実証)を東急建設の工場現場でスタートすることも検討しています。

AR用のデバイスとしては、マイクロソフトの「HoloLens 2」シリーズがよく使われていますが、一部ではHoloLens 3の開発中止の報道があるなど、将来が見通しにくいのも事実です。

建設業界でよく疲れているHoloLens 2。2022年12月の建設DX展での建設ITワールドブースにて(写真:家入龍太)

建設業界でよく疲れているHoloLens 2。2022年12月の建設DX展での建設ITワールドブースにて(写真:家入龍太)

今回、東急建設がCellidに投資したことは、AR市場の将来性だけでなく、高性能のARデバイスを安定的に確保できるようにするという狙いもありそうですね。

【訂正】
当初、記事タイトルや本文で、東急建設の出資額を「3億円」としておりましたが、これはCellidの資本金額が3億円の誤りでした。東急建設の出資額は非公表です。お詫びして訂正いたします。

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