東急建設が鉄筋プレハブベンチャー、Toggle Roboticsへ出資! ロボットで溶接、組み立てを自動化
2023年2月8日

管理人のイエイリです。

工事現場の仕事の中でも、鉄筋の組み立てはいまだに手作業が幅を利かせています。その理由は、鉄筋の現場溶接は“ご法度”という認識があるため、鉄筋の交差部を焼きなまし鉄筋などで一つ一つ、緊結する作業が求められているからです。

米国・ニューヨークに本拠を置くトグル・ロボティクス社(Toggle Robotics)は、この手作業に真っ向から挑戦し、建設業の生産性を上げることに取り組んでいます。

ナ、ナ、ナ、ナント、

ロボットやAIを駆使し

鉄筋の組み立てをプレハブ化するシステムの開発を行っているのです。

トグル・ロボティクス社のウェブサイト(以下の資料、写真:Courtesy of Toggle Robotics)

トグル・ロボティクス社のウェブサイト(以下の資料、写真:Courtesy of Toggle Robotics)

同社では、「Toggle OS」というソフトウエアで、鉄筋の組み立て図を自動作成し、アーム型ロボットを使って鉄筋の自動溶接や組み立て、品質確認を行うなど、省人化を行っています。

また、AI(人工知能)や機械学習を使って製造データの蓄積を行っており、高精度で高い自由度の鉄筋組み立てを行うソフトウエアの開発力を持っています。

鉄筋のプレハブ加工を行うロボットやシステムからなる「ワークセル」は、ユーザーから要望があれば現場付近に“配達”することもできます。

アーム型ロボットによる鉄筋の自動溶接

アーム型ロボットによる鉄筋の自動溶接

ロボットによる円柱形鉄筋かごの自動組み立て

配達可能な鉄筋加工用ワークセル

配達可能な鉄筋加工用ワークセル

トグル・ロボティクス社は、インフラ関係の出身者やロボット、AI、ソフト開発、工場自動化など、多岐にわたる専門性を備えたスタッフを擁しています。

この会社の可能性に注目した東急建設は、系列の投資会社、TOKYU-CONST GB Innovation Fund L.P.(運営者:グローバル・ブレイン)を通じて、

Toggle Roboticsに出資

しました。

東急建設では、岩瀬プレキャスト(本社:茨城県桜川市)と共同で、集合住宅のプレキャストバルコニー板の鉄筋を、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)モデルから自動加工するなど、鉄筋加工の自動化を進めています。(2022年4月26日の当ブログ記事参照

今回の投資も、その一環と言えるでしょう。

鉄筋の溶接が問題になったのは、1995年に発生した阪神・淡路大震災での建物被害がきっかけと言われています。溶接時の急熱・急冷却による材料強度が低下や、断面欠損のため、建物が破壊した例が多かったのです。

しかし、鉄筋の溶接そのものは禁止されてはおらず、工場内でのコンクリート二次製品の製造などでは溶接が行われています。

人手不足が深刻化する今、手作業による鉄筋の緊結は、生産性向上のボトルネックになりつつあります。今後は工場での品質管理された溶接を活用したプレハブ化も進んで行きそうですね。

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