管理人のイエイリです。
京都・東福寺光明院では、彫刻家Nell Shiina氏による個展「Where now in our gaze?」が開かれており、枯山水庭園の波心庭の中には黒光りする彫刻が展示されています。
この彫刻は、
ナ、ナ、ナ、ナント、
建設用3Dプリンター
で“印刷”されたものなのです。(MAT一級建築士事務所のプレスリリースはこちら)
この彫刻は、Nell Shiina氏とクリエイティブディレクターのアラタ スズキ氏のコラボレーション作品で、制作にはMAT一級建築士事務所(本社:群馬県吾妻町。以下、MAT社)の建設用3Dプリンター技術が採用されました。
当初は、高さ約3mの彫刻を作る予定でしたが、波心庭には重機が入れないことが判明したため、各部材を人が運べる大きさと重さで印刷するように計画を変更しました。
その結果、印刷部分の高さを約2mに変更し、7つのパーツに分けて印刷しました。安全面を考慮して、パーツの中心部は空洞にして、スチール製の支柱を軸として積み上げました。
各パーツの表面は、波打つように不規則な面で構成されています。
3Dプリンターの印刷用データの始まりは、Nell Shiina氏がイメージしたモチーフを石こうでサンプルを作成し、MAT社が、
3Dスキャン
を行って3Dデータ化しました。
そのデータをもとに、実際に印刷するための構造案を、MAT社の代表取締役で建築家の田中朋亨氏が設計しました。
その設計を、さらにアラタ スズキ氏が再構成し、MAT社の設計チームが印刷用の3Dモデリングを行ったのです。
この彫刻の展示期間は、2023年3月10日から4月9日までです。ご興味のある方は、花見も兼ねて京都の東福寺光明院に出掛けてみてはいかがでしょうか。
MAT社は2022年にオランダのCyBe Construction社の3Dプリンターを導入し、Polyuse(本社:東京都港区)とのコラボで、日本で初めて確認済み証の交付を受けた建物を印刷しました。
このほか、ワークスタジオ(本社:東京都新宿区)とともに、廃棄衣類繊維を3Dプリント建築の断熱材として商品化するなどの取り組みを行っています。
今後も建設用3Dプリンターを活用し、SDGsを意識したプロジェクトを多く計画しているとのことですので、日本の3Dプリント建築も幅が広がっていくことが期待されますね。