大林組が東名リニューアルで工程DX! トヨタとコラボした施工シミュレーターで“手待ちのムダ”削減
2023年3月27日

管理人のイエイリです。

東名高速道路の東名多摩川橋では、2021年11月から約3年間にわたってコンクリート床版の取り替え工事が行われています。

都心の大動脈だけに、工事による渋滞や周辺地域への騒音などは極力避けなければいけません。

そこで施工を担当する大林組は、移動式の床版架設機「ハイウェイストライダー」とプレキャスト床板、床版接合部に設置する「スリムNEOプレート」を使った「DAYFREE」という工法を採用することで、夜間に1車線だけ規制、昼間は上下3車線を通しながのら施工を続けています。

東名多摩川橋での床版取り替え工事。ハイウェイストライダーやプレキャスト床版などを活用し、上下3車線ずつを通しながらの施工を行っている(写真:大林組のYouTube動画より)

東名多摩川橋での床版取り替え工事。ハイウェイストライダーやプレキャスト床版などを活用し、上下3車線ずつを通しながらの施工を行っている(写真:大林組のYouTube動画より)

東名多摩川橋での床版取り替え工事。ハイウェイストライダーやプレキャスト床版などを活用し、上下3車線ずつを通しながらの施工を行っている(写真:大林組のYouTube動画より)

東名多摩川橋での床版取り替え工事。ハイウェイストライダーやプレキャスト床版などを活用し、上下3車線ずつを通しながらの施工を行っている(写真:大林組のYouTube動画より)

そして、この現場では目に見えないところでも、生産性向上や工期短縮の工夫が凝らされています。

大林組はトヨタ自動車の協力を得て、

ナ、ナ、ナ、ナント、

施工シミュレーター

で工事現場を3DCGで再現し、工程や作業員数の最適化を図っているのです。(大林組のプレスリリースはこちら

施工シミュレーターで再現した東名多摩川橋のバーチャル現場(以下の資料:大林組)

施工シミュレーターで再現した東名多摩川橋のバーチャル現場(以下の資料:大林組)

この施工シミュレーターは、トヨタ自動車 未来創生センター(所在地:愛知県豊田市)が開発したものです。

施工機械や新しい床版などを3DCGで表示することで、バーチャル現場を構築します。そして、作業員のアバターに番号を振り、その動きをバーチャル現場内で再現。施工機械や他の作業員との連携作業を見える化しました。

例えば、プレキャスト床版の設置後に、主桁と固定するための無収縮モルタルの打設や、隣の床版と接合するスリムNEOプレートの設置などの作業工程をバーチャルに再現し、分析したのです。

各作業員に番号を振り、その動きを再現し、分析する

各作業員に番号を振り、その動きを再現し、分析する

その結果、当初の工程計画では作業員の待機時間が多く、“手待ちのムダ”が多く発生していることがわかりました。

当初の工程計画。「待機時間」を示す赤い部分が多いことがわかる

当初の工程計画。「待機時間」を示す赤い部分が多いことがわかる

そこで施工順序や次工程に移るタイミングを見直しながら、施工シミュレーター上で各作業員を適切に割り当てることにより、当初計画では60分必要だった工程を50分まで短縮し、作業員数も12人から10人に削減できることがわかりました。

つまり、作業時間と作業員数を、

それぞれ2割削減

できることになったのです。

カイゼン後の作業計画。赤い「待機時間」が大幅に減少していることがわかる

カイゼン後の作業計画。赤い「待機時間」が大幅に減少していることがわかる

実際、現場で作業前の作業員に、シミュレーション結果のアニメーションで工程を説明したところ、詳細な工程検討や作業員の配置が可能になり、工程についても深い理解につながったとのことです。

今後は施工シミュレーターで、昼間作業と夜間作業の人員配置や、各人の能力を考慮した作業の割り振りを検討することで、さらなるカイゼンが期待できそうです。

トヨタ自動車と言えば、「7つのムダ」(※)削減で生産性向上を図る「トヨタ生産方式」で知られています。

(※)7つのムダ=加工のムダ、在庫のムダ、不良(手直し)のムダ、手待ちのムダ、造りすぎのムダ、動作のムダ、運搬のムダ

建設業では、業務のクラウド化による「移動のムダ=動作のムダ」削減が進みつつあります。今回、トヨタの施工シミュレーターによって、「手待ちのムダ」削減まで進化してきたことで、“工程DX”の時代がいよいよ始まりそうです。

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