3Dモデルの画角通りにドローンが自動空撮! 三井E&Sとゼンリンデータコムが「ドローンスナップ」を開発
2023年6月23日

管理人のイエイリです。

クレーンや橋梁などの維持管理ではこれまで、高いところに人間が上って、近接目視点検する作業が欠かせませんでした。

そのためクレーンの停止期間が長くなり、コストや安全面、検査結果のばらつきなどの課題がありました。

港湾クレーン(左)の維持管理には、高所での近接目視点検(右)が欠かせない(以下の写真、資料:ゼンリンデータコム)

港湾クレーン(左)の維持管理には、高所での近接目視点検(右)が欠かせない(以下の写真、資料:ゼンリンデータコム)

そこで、ドローン(無人機)による点検に注目が集まっていますが、手動操縦だと撮影画像の品質がパイロットの技量に左右されたり、点検時間が思ったほど短縮できなかったりという問題もありました。

そこでゼンリンデータコム(本社:東京都港区)と三井E&S(本社:東京都中央区)は、こうしたドローン点検の問題を解決するため、「ドローンスナップ」という構造物点検用アプリの開発を始めました。

構造物点検用アプリ「ドローンスナップ」の画面

構造物点検用アプリ「ドローンスナップ」の画面

構造物の3Dモデル上でドローンの飛行ルートを設定し、現場で自動飛行させるものですが、撮影したい画像の

ナ、ナ、ナ、ナント、

画角やズーム倍率

まで、事前に設定し、狙った通りの写真が撮れるのです。(ゼンリンデータコムのプレスリリースはこちら

3Dモデル上で撮影位置や画角、ズーム倍率を設定する(左列)と、ドローンが狙った通りの写真(右列)を自動的に撮ってくる

3Dモデル上で撮影位置や画角、ズーム倍率を設定する(左列)と、ドローンが狙った通りの写真(右列)を自動的に撮ってくる

ドローンが飛行中の操作画面。写真を自動撮影するところ

ドローンが飛行中の操作画面。写真を自動撮影するところ

このアプリは対象物の3Dモデルを読み込み、CG画面で飛行ルートや写真の撮影位置、画角などを事前設定します。

そして、飛行ルートを公共座標の緯度・経度に変換して、ドローンの機種ごとに飛行ファイルを作成。ドローンに読み込ませることで、事前に設定した通りの自動飛行や自動撮影を行います。

アプリによる飛行ルートの作成から点検までの流れ

アプリによる飛行ルートの作成から点検までの流れ

現場でのドローン制御には、センチメートル精度の全地球測位システム「RTK-GNSS」を使います。自動飛行中に気になる箇所を見つけた場合には、手動操縦に切り替えて、構造物をクローズアップして確認することもできます。

ドローンの位置制御にはRTK-GNSSを使用している

ドローンの位置制御にはRTK-GNSSを使用している

気になる箇所があったときは手動操縦に切り替えて、画面をクローズアップして細部を確認できる

気になる箇所があったときは手動操縦に切り替えて、画面をクローズアップして細部を確認できる

撮影計画の3Dモデルの代わりに、

構造物の点群データ

も使えるので、複雑な構造物の場合は便利ですね。

撮影した点検写真は、「ドローンスナップ・クラウド」というクラウドサービスにアップすると点検部位ごとに自動振り分けして管理できます。

同じ画角とズーム倍率の写真同士なら、時系列で比較しやすいですね。また、AI(人工知能)による錆の判定を行う機能も用意されています。

ドローンスナップ・クラウドに読み込んだ点検写真。時系列での比較やAIによる錆判定も行える

ドローンスナップ・クラウドに読み込んだ点検写真。時系列での比較やAIによる錆判定も行える

このシステムは、港湾クレーン点検用に開発を始めたものですが、クローラークレーンや橋梁、プラント施設など、様々な構造物の点検に活用できます。

大型のクローラークレーンのある点検例では、152カ所の写真を撮るのに撮影時間が32分、準備を入れても60分以内で完了したそうですね。

クローラークレーンの点検例

クローラークレーンの点検例

なおこのアプリは、2023年6月28日(水)から30日(金)まで、東京ビッグサイトで開催される「インフラメンテナンス展」のゼンリンデータコムブース(小間番号:29-55)で、開発中のデモ版が展示されます。ご興味のある方は、お出掛けください。

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