管理人のイエイリです。
2023年5月30日、青森県六ヶ所村の尾駮沼(おぶちぬま)の岸壁で、紺色の作業服に身を包んだ多くの人が沖合を見つめていました。
沖合の空から現れ、岸壁に着陸したのは、大型ドローン(無人機)でした。見ると、なんやら細長い筒状のものを吊り下げています。
この吊り荷の中身は、
ナ、ナ、ナ、ナント、
約30Lもの湖沼水
だったのです。(クリーク・アンド・リバーのプレスリリースはこちら)
この日の飛行は、六ヶ所エンジニアリング(本社:青森県上北郡六ヶ所村。以下REC)が緊急時における湖沼の放射能濃度測定を目的とした行った湖沼水の採水実験に、クリーク・アンド・リバー(本社:東京都港区)が協力して行ったものです。
使用したドローンは運搬用の「XYZ55」という機種で、最大積載量は55kgです。当日は風速が6~7m/sと比較的強かったにもかかわらず、狙った場所の座標をもとに大量のサンプル水を採取することができました。
ちなみにこの機種は2023年4月にも、三井金属資源開発(本社:東京都品川区)が群馬県の山間部で行った地熱調査の現場で、総重量7.1トンの資材をピストン輸送するのに使われました。(2023年5月30日の当ブログ参照)
従来、この作業はチャーター船を使って、作業員4人程度で行っており、数時間かかっていました。また強風や波による落水といった危険や、放射線量が高い緊急時に人が直接、採水するのは難しいという課題もありました。
その点、ドローンを使うと
採水自体には2分間
しかかからず、準備を含めた全工程でも20分程度と、船を使った場合に比べて大幅にスピードアップできました。
作業者はドローンパイロット2人、補助員1人、監視員1人でした。直接、水に入らずに採水を行えるので、いつでも出動でき、作業の安全性も高まりますね。
今回の飛行によって、海や川でのドローン活用や、底土の採集ができるかといった今後のニーズや検討課題も明らかになったそうです。
海や川などの水には、微生物や環境ホルモンなどの物質が含まれており、これを採取・分析することですんでいる魚の種類などもわかる時代です。
ドローンによって安全かつスピーディーに水質や土質の検査が行えるようになると、水環境のデジタルツイン化も進化していきそうですね。