管理人のイエイリです。
建築・インテリア設計に強いBIM(ビルディング)ソフトとして知られる「Vectorworks」を展開するエーアンドエー(本社:東京都港区)は、学校でのCAD教育にも力を入れています。
その中心となるのが「OASIS」という教育支援プログラムです。授業でVectorworksを活用する大学や専門学校などを対象に、学生単年度版ライセンスやオリジナルテキストを提供したり、認定試験を実施したり、授業環境を構築する手伝いを行ったりと、様々なサポートを行っています。
OASISに加盟する教育機関の先生らが集まる毎年恒例のイベント「Vectorworks教育シンポジウム」が、2023年8月23日、東京・品川で開催され、約70人が参加しました。
シンポジウムの終盤、OASIS事務局を担当するエーアンドエー 営業本部 カスタマートレーニング部 次長の福原弘之氏による発表に、会場はどよめきました。
学校などでの教育向けVectorworksを、
ナ、ナ、ナ、ナント、
2024年春から無償化
するというのです。(エーアンドエーのプレスリリースはこちら)
この無償化は、Vectorworksを学校生活での学習利用を目的として使用する場合、教育機関や教職員、学生対象に行われるものです。
無償提供されるのはBIMやランドスケープ、舞台照明計画などのすべての機能を搭載した最上位の「Vectorworks Design Suite」です。教育機関向けには使用期限なしのネットワーク版が25ライセンス単位で提供され、学生や教員向けには1年間有効のライセンスが1人1ライセンス取得できます。
一方、注意点としては教育版のVectorworksでは、印刷時に用紙の上下2カ所に「ウォーターマーク」が表示されることです。
一般向けのVectorworksで作成したファイルを、一度でも教育版で開き、保存したり、教育版で作成したCAD部品を一般版に読み込んだりすると、以後、「ウォーターマーク」が“伝染”していきますので、注意が必要です。
詳しい情報は、OASISのウェブサイトで随時、更新されていくのでご興味のある方はお知らせメールに登録しておくとよいでしょう。
教育版を入手できるのは、学校教育法で認可されている大学や大学院、専門学校、高等専門学校、高校などのほか、社会人向けに運営されているキャリアアップスクールや職業能力大学校が対象です。
学生や教員であることを証明する方法として、
SheerID
という認証サービスを利用するのも特徴です。(SheerIDの詳細はこちら)
SheerIDはユーザーが今、どんな職業的ステータスにあるのかを確認する専門サービスです。
これまでは教育版ソフトを買うたびに学生証や職員証などを提示して申し込み必要がありましたが、このSheerIDを使うと1回の手続きで様々な会社の教育版製品を購入できるので便利です。オートデスクなども採用しているようです。
教育版Vectorworksの無償化により、従来、有料で販売されてきた「Vectorworks学生単年度版」などの新規販売は2023年で順次、終了し、更新契約も2024年で終了の予定です。
手軽に使えるVectorworksが無償化されることで、教育現場での導入もますます増えていきそうですね。