管理人のイエイリです。

山岳トンネル工事で使われる吹き付けコンクリートは、現場に設置させた「バッチャープラント」という設備で昼夜を問わず作られます。

その原料となる細骨材や粗骨材は、「骨材ビン」という容器に貯蔵されており、現場技術者は日々の作業の合間に骨材ビンの在庫を調べて、過不足がないように注文・補充しています。

しかし、ちょっと油断していると夜中に在庫が切れて、掘削工事全体がストップしたり、逆に補充が早すぎると、骨材ビンがいっぱいになって、せっかく骨材を運んできたトラックを追い返したりというミスも発生してしまいます。

地味な管理ですが、四六時中、気が抜けないので、担当者のストレスも相当なものだろうと、想像できますね。

こうした問題を解決しようと、西松建設はバッチャープラントの骨材在庫を見える化する技術「BP-Tracker」を開発しました。

骨材ビンの内部を、

ナ、ナ、ナ、ナント、

LiDARで常時計測

し、パソコンの画面に表示してくれるのです。（西松建設のプレスリリースはこちら）

骨材ビンの上部に取り付けられたLiDARで在庫量をリアルタイム計測する（上段）。その結果は、パソコン画面に表示され、骨材ビンを見に行かなくても在庫が常にわかる（下段）（以下の写真、資料：西松建設）

パソコン画面に表示された骨材ビンの在庫量

LiDARで計測した骨材ビン内部の骨材形状から体積を算出します。その誤差は3%以内と高精度です。

その在庫量データは専用クラウドにアップされ、さらにビジネスチャットアプリ「direct」に連携しています。

特定のコマンドを入力すると、現在の在庫量を

チャットボットが回答

してくれるのです。

作業前や作業終了時などの決まった時間に、在庫量を自動的に知らせてくれるように設定することも可能です。

チャットボットが 回答した骨材ビンの在庫量

このシステムがあれば、現場技術者や作業員はもちろん、骨材納入業者までいつでもどこでも、骨材の在庫量を把握することができます。

これまでのように骨材ビンを見に行く「移動のムダ」や、品切れによる「手待ちのムダ」、過剰発注による「持ち帰りのムダ」がなくなります。

何と言っても、品切れを気にするストレスからの解放効果は、心理的な働き方改革を実現してくれそうですね。

西松建設はこのシステムを現場で試験運用し、継続的に改良を行う予定です。また、骨材注文やプラントへの材料供給を自動化し、バッチャープラントの完全自動化も目指すとのことです。