管理人のイエイリです。
シンガポールでは2015年から5000m2超の建物の建築確認申請を行うときに、意匠、構造、設備のBIMモデル提出が義務づけられています。
こうしたお国柄を反映して今、「バーチャル・シンガポール(Virtual Singapore)」という巨大3Dプロジェクトが着々と進んでいます。
ナ、ナ、ナ、ナント、
国全体をBIM化
して、官民で広く使おうというものなのです。
バーチャル・シンガポールは国家研究財団(NRF)が中心となり、シンガポール土地庁(SLA)と情報通信開発庁(IDA)とともに開発しているもので、その予算は7300万シンガポールドル(約60億円)という巨大なプロジェクトです。
シンガポールの国土全体を、バーチャルな3Dモデルにすることにより、産学官民が様々な目的に使えるようにすることを目指しています。
例えばビルのBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を置いてファサードの材質やデザインなどの検討や街並み全体の通風シミュレーション、バスケットボールコートなどの計画といった建設関係の活用がまず、考えられます。
また、携帯電話の電波の伝搬解析、災害が発生したときの避難・救出シミュレーション、自動車交通や歩行者移動の検討にも使えます。
このほか、ピル内部のフロアを表示して、車イスで通れるルートを案内したり、認知症の高齢者が街のどこにいるのかを探したり、さらには迷子になったペットの居場所を突き止めたりと、無限の活用方法が想定されています。
パッと見たところは、グーグル・アースやバーチャル・アースに似ていますが、ポイントは
属性情報を持った3Dモデル
ということです。
例えば、あるビルをクリックするとビルの番地だけでなく、ビルの材質や換気方式、直射日光が当たる日照時間などが出てきます。
外構では駐車場の台数や木の本数まで、瞬時に表示することもできます。
また、建物の周囲を選んでクリックすると周長や建築面積、高さなどもモデル上で計算できます。
システムには、ダッソー・システムズのものを使っているようです。
さすがBIMの先進国であるシンガポールならではのプロジェクトですね。このプロジェクトは2017年に完成する予定とのことです。