草木の上から地表面を測る!鹿島がドローンからの3Dレーザー計測に成功
2016年6月14日

管理人のイエイリです。

ドローンでダムや造成現場を連続的に空撮し、その写真データをコンピューター処理して現況地形の3Dモデルを作り、土量計算などに利用する取り組みは、様々な現場で行われています。

ただ、この方法の問題点は地上に草木が生い茂っていた場合、その下にある地盤の表面形状まではわからないことです。

鹿島は測量機器大手のニコン・トリンブル(本社:東京都大田区)、ドローン計測のルーチェサーチ(同:広島市)と共同で、この問題を解決できる空中測量を開発。大分市内で建設中の大分川ダムの工事現場で計測にチャレンジし、見事、成功を収めました。

大規模な現場で、ドローンによるレーザー測量を大々的に行った例は、日本ではこれまで聞いたことがありません。

その方法とは、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

ドローンにレーザースキャナー

 

を搭載し、高密度・高精度の点群データを取得することに成功したのです。

レーザースキャナー(赤丸の部分)を搭載したドローン(以下の写真、資料:鹿島)

レーザースキャナー(赤丸の部分)を搭載したドローン(以下の写真、資料:鹿島)

大分川ダムの堤体を計測中のドローン

大分川ダムの堤体を計測中のドローン

ドローンからの空撮写真で測量を行う場合には、あらかじめ対空標識と呼ばれるターゲットを地上に何個も設置する必要があります。

一方、レーザースキャナーを使った場合は、ドローンに搭載されたGNSS(全地球測位システム)とジャイロセンサーのデータによりはじき出した機体の位置が得られるのでターゲットを設置する必要はありません。

大分川ダムの現場では、わずか13分間で20haの広さを測量しました。データ処理に要した時間は約6時間です。高精度の地上型3Dレーザー測量の結果と比較すると、90%以上の測量点が±4.5cm以下の精度に納まっていました。

鹿島は昨年9月にドローンによる空撮写真から3Dモデルを作成し、同様の精度比較を行いましたが、そのときの結果は「90%以上の点が±6cm以下」でした。精度的にも今回の方が好成績を収めたようですね。

ドローンで計測した堤体部の点群データ

ドローンで計測した堤体部の点群データ

そして、ドローンにレーザースキャナーを搭載したことによるメリットは、ほかにもあります。レーザー光の一部は、樹木や草のすき間から地上に到達するので、点群データの下の方をコンピューター処理して取り出すことで、

 

草木の下の地表面を測量

 

できるのです。

草木が映った点群データ

草木が映った点群データ

コンピューター処理で草木を取り除いた地表面の点群データ

コンピューター処理で草木を取り除いた地表面の点群データ

このほか、画角が写真よりレーザーの方が広いので一経路での測量幅が広く、短時間で現場を測量できる、空中の電線などを正確に計測できる、夕暮れ時でも測量できる、といったメリットもあります。

鹿島は大分川ダムの現場でさらにドローンレーザー測量の精度を高め、出来形管理などに活用していくほか、より安価に利用できるように開発を進めていく予定です。

ちなみに、今回、使われたドローンは最大で30kgの荷物が搭載でき、風速10m/秒でも安定した自律飛行ができる機体を使いました。今後、レーザー機器の小型化が進むと、さらにドローンによる測量が行いやすくなりそうですね。

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