管理人のイエイリです。
災害復旧現場などの危険な場所での施工には、離れた場所にいるオペレーターが建設機械を遠隔操作する無人化施工などが用いられます。
しかし、現場から送られてくる映像を複数のモニターで見ながら遠隔操作するのは、実際に運転席で操作するときに比べて作業効率が50~60%に低下してしまいます。
そこでKDDI、大林組、日本電気(NEC)の3社は、2018年2月1日~14日まで、大林組の東京機械工場(埼玉県川越市)で遠隔操作の作業効率を上げるための実証実験を行いました。(大林組のプレスリリースはこちら)
オペレーターが見るモニターに
ナ、ナ、ナ、ナント、
4K3Dモニターを採用
し、肉眼で現場を立体視しながら作業できるようにしたのです。
4Kとは、モニターの横幅当たりの画素数が約4000個あるという意味で、ハイビジョンテレビの約2倍の高精細さです。さらに、立体的に見えるので、オペレーターはアームの先に取り付けられたバケットやアタッチメントとの距離感を感じながら作業できます。
例えば、コンクリートブロックを積んだり、がれきの山から目的のものをつまみ上げたりする作業も、3Dモニターがあるとかなりやりやすくなります。
実証実験では、建機に4Kカメラを2台、2Kの全天球カメラを1台、そして建機周辺に2K俯瞰(ふかん)カメラを2台取り付け、計5台のカメラ映像を約70m離れた場所にある遠隔操作室に送りました。
しかし、これだけの情報量を送るのは、従来のWi-Fiなどでは難しそうです。
そこで、導入されたのが高速・大容量通信を可能にする
第5世代通信「5G」
の回線なのです。
カメラ映像の伝送には、28GHz帯の超多素子アンテナを使いました。
この「3Dの4Kモニター」×「5G通信」による建機の遠隔施工は、日本で初めてです。そして、作業効率は従来の遠隔操作に比べて15~25%改善したそうです。
近い将来、自動制御される無人建機やロボットなどによる施工が行われる場合でも、細かい部分やイレギュラーな処理などは人間のオペレーターによる施工が必要な場面も出てくるでしょう。
そんなときには、このような遠隔制御システムで人間が無人建機やロボットに、“バーチャル搭乗”しながら工事を進めていくこともできそうですね。