管理人のイエイリです。
先日、東京・渋谷のハロウィーン騒ぎで軽トラックが横転される事件が起こりました。これまでなら、犯人は大都会の人混みに消えてしまっていたところです。
しかし、警察は監視カメラの映像を追跡する執念の捜査で、4人の犯人を逮捕したというニュースが飛び込んできました。防犯や防災では、監視カメラの重要性は増すばかりです。
カメラの設置場所や撮影角度を決めるとき、これまでは平面図を使って検討していたため、壁や柱などが多い空間では、死角ができないようなカメラ配置を求めることが困難でした。
そこで大成建設は、監視カメラの配置検討ツール「T-Sight simulator Security」を開発しました。建物空間のBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)モデル上に監視カメラを配置し、シミュレーションすることで、
ナ、ナ、ナ、ナント、
死角をマップ上に表示
してくれるのです。
上の図は物販店舗のBIMモデル上に監視カメラを配置し、各カメラの画質や画角、距離に応じた解像度と、映る範囲や画質をシミュレーションした結果です。
カメラ周辺は顔認証まで可能な高画質(青い部分)であるのに対し、少し離れると人物特定までが可能な低画質(オレンジ色の部分)、さらには死角など(赤い部分)と色分け表示されるので問題箇所が一目瞭然です。
そこでBIMモデル上で青や黄色が多い部分のカメラを減らしたり、赤が多い部分が映るようにカメラを移動させたりしてシミュレーションを繰り返すことで、だんだん、死角の範囲を減らすことができます。
例えば、先ほどの原設計でカメラの配置や向きを変えていくと、死角の部分が少なくなるばかりか、
カメラ台数も削減
できてしまうのです。
複雑で大規模な建築空間や広い街区を数百台、数千台のカメラで監視するような場合は、このツールが特に効果を発揮しそうですね。
このツールは、同社が劇場やスポーツ施設などの設計で客席からの舞台の見やすさをシミュレーションするために開発した「T-Sight simulator」(詳細は、当ブログ2016年11月8日付けの記事を参照)を元に開発されました。
大成建設では駅や空港などの交通施設や商業施設、スポーツ施設など不特定多数の人が利用する施設や街の監視強化から、工場や倉庫などのセキュリティー強化、さらには医療・福祉施設での利用者の見守り強化などに、このツールを幅広く活用していく予定です。