管理人のイエイリです。
国土交通省が推進する「i-Construction」施策などで、建設会社にはすっかりおなじみになったドローン(無人機)ですが、長時間の飛行が難しく、何度も飛ばす場合にはあらかじめ充電したバッテリーをいくつも用意しておく必要がありました。
その常識を根底から覆す技術が開発されています。例えば、2020年10月12日に、三重県伊賀市で飛行した下のドローンですが、日の出とともに朝6時2分に離陸しました。
その後、1時間、2時間と時間は経過し、お昼を過ぎても下りてきません。そして日没タイムアウトとなり、“やむなく”着陸したのですが、その時刻は午後5時23分でした。
つまり、6時2分から17時23分までずっと上空にいたわけですから、
ナ、ナ、ナ、ナント、
11時間21分も連続飛行
していたのです。(小川精機のYouTube動画はこちら)
このドローンは縦1700mm×横1700mm×高さ350mmで、モーターは300Wクラスのものを4台使用しています。
電動モーターで飛ぶにもかかわらず、11時間もの連続飛行ができた秘密は、機体の下部にドローン搭載型発電機「レンジエクステンダー GT33REU」と、燃料の混合ガソリン7.4リットルが搭載されていたからなのです。
模型エンジンの老舗メーカー、小川精機(本社:大阪市東住吉区)が開発したこの発電機があるおかげで、飛行中のドローンのバッテリーには常に空中給油ならぬ“空中充電”がされるため、ガソリンが切れるまで飛行できるというわけです。
エンジンの排気量は33ccです。約2立方インチですので、「10(イチマル)」「60(ロクマル)」といった模型エンジンの呼び方では「200」となり、かなり大型になります。
エンジンをかけるときは、発電機がセルスターターとして機能し、遠隔操作で起動させることができます。このあたり、設計にムダがありませんね。
稼働100時間ごとにオーバーホールを行った場合、寿命は500時間とのことです。かなり使えますね。
ちなみに、このドローン用発電機は、先日(2021年4月6日)の当ブログ記事でご紹介した、ドローン搭載のグリーンレーザーによる海面下20m下の3D計測にも使われました。
約11時間の飛行時は、カメラなどのペイロードなしでしたが、3kgの重りを付けた場合でも、3時間以上の飛行に成功しています。
電動ドローンにエンジン発電機を付けて、長時間飛行させる方式は「ハイブリッドドローン」と言われ、建設業界でもいろいろと取り組みが行われています。
例えば、あの3Dプリンターによる構造物建設(2020年10月9日付けの当ブログ記事参照)で知られる会沢高圧コンクリート(本社:北海道苫小牧市)の関連会社、AIZAWA Aerospatiale(アイザワ アエロスパシアル)が独自開発したハイブリッドドローン「Airborg」は、搭載できる
ペイロードが10kg
で、約1時間の飛行が可能という巨大なものです。(AIZAWA AerospatialeのYouTube動画はこちら)
使用しているエンジンのメーカー名は明らかではありませんが、動画によると日本のエンジンメーカーのようです。
これまでのバッテリー式ドローンは、滞空時間が10分程度と短かったため、空撮やレーザー測量も細切れで行う必要がありました。
それが、ドローン搭載用発電機の登場により、ドローンの滞空時間は飛躍的に延び、測量や運搬作業などの生産性は大幅に向上しそうです。日本の模型用エンジンメーカーによる、ドローン革命が始まりました。