ドローンが11時間飛行! 日本の模型エンジンメーカーがi-Conに革命を起こした
2021年4月12日

管理人のイエイリです。

国土交通省が推進する「i-Construction」施策などで、建設会社にはすっかりおなじみになったドローン(無人機)ですが、長時間の飛行が難しく、何度も飛ばす場合にはあらかじめ充電したバッテリーをいくつも用意しておく必要がありました。

その常識を根底から覆す技術が開発されています。例えば、2020年10月12日に、三重県伊賀市で飛行した下のドローンですが、日の出とともに朝6時2分に離陸しました。

2020年10月12日、三重県伊賀市木津フライングクラブ飛行場を飛ぶドローン

その後、1時間、2時間と時間は経過し、お昼を過ぎても下りてきません。そして日没タイムアウトとなり、“やむなく”着陸したのですが、その時刻は午後5時23分でした。

日の出とともに午前6時2分に離陸。左の時計が現地時間、右の時計が飛行時間を表示している

快晴となったお昼ごろ。安定した飛行は続く

午後5時23分、日没のためやむなく着陸

つまり、6時2分から17時23分までずっと上空にいたわけですから、

ナ、ナ、ナ、ナント、

11時間21分も連続飛行

していたのです。(小川精機のYouTube動画はこちら

このドローンは縦1700mm×横1700mm×高さ350mmで、モーターは300Wクラスのものを4台使用しています。

電動モーターで飛ぶにもかかわらず、11時間もの連続飛行ができた秘密は、機体の下部にドローン搭載型発電機「レンジエクステンダー GT33REU」と、燃料の混合ガソリン7.4リットルが搭載されていたからなのです。

模型エンジンの老舗メーカー、小川精機(本社:大阪市東住吉区)が開発したこの発電機があるおかげで、飛行中のドローンのバッテリーには常に空中給油ならぬ“空中充電”がされるため、ガソリンが切れるまで飛行できるというわけです。

エンジンの排気量は33ccです。約2立方インチですので、「10(イチマル)」「60(ロクマル)」といった模型エンジンの呼び方では「200」となり、かなり大型になります。

エンジンをかけるときは、発電機がセルスターターとして機能し、遠隔操作で起動させることができます。このあたり、設計にムダがありませんね。

稼働100時間ごとにオーバーホールを行った場合、寿命は500時間とのことです。かなり使えますね。

ちなみに、このドローン用発電機は、先日(2021年4月6日)の当ブログ記事でご紹介した、ドローン搭載のグリーンレーザーによる海面下20m下の3D計測にも使われました。

飛行に使用したドローンの下部には、ドローン搭載型発電機と巨大なガソリンタンクが搭載されていた

ドローン搭載型発電機「レンジエクステンダー GT33REU」。定格出力は1kWで、エンジン排気量は33cc、重量は3540gだ

「GT33REU」のセット内容

「GT33REU」のブロック図。48Vの直流を発電する

約11時間の飛行時は、カメラなどのペイロードなしでしたが、3kgの重りを付けた場合でも、3時間以上の飛行に成功しています。

電動ドローンにエンジン発電機を付けて、長時間飛行させる方式は「ハイブリッドドローン」と言われ、建設業界でもいろいろと取り組みが行われています。

例えば、あの3Dプリンターによる構造物建設(2020年10月9日付けの当ブログ記事参照)で知られる会沢高圧コンクリート(本社:北海道苫小牧市)の関連会社、AIZAWA Aerospatiale(アイザワ アエロスパシアル)が独自開発したハイブリッドドローン「Airborg」は、搭載できる

ペイロードが10kg

で、約1時間の飛行が可能という巨大なものです。(AIZAWA AerospatialeのYouTube動画はこちら

AIZAWA Aerospatialeが開発したハイブリッドドローン「Airborg」。機体下部にガソリンエンジン付き発電機が搭載されている(以下の写真、資料:AIZAWA Aerospatiale)

ペイロード10kgの機体は迫力満点

飛行中の機体

使用しているエンジンのメーカー名は明らかではありませんが、動画によると日本のエンジンメーカーのようです。

これまでのバッテリー式ドローンは、滞空時間が10分程度と短かったため、空撮やレーザー測量も細切れで行う必要がありました。

それが、ドローン搭載用発電機の登場により、ドローンの滞空時間は飛躍的に延び、測量や運搬作業などの生産性は大幅に向上しそうです。日本の模型用エンジンメーカーによる、ドローン革命が始まりました。

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