日揮グループが建設用3Dプリンターを導入へ! 2021年内に石巻市内で造形開始
2021年7月5日

管理人のイエイリです。

プラント建設大手の日揮ホールディングスは2018年12月に、AIやロボット、デジタルツイン(デジタルの双子)などを活用し、EPC(設計・調達・建設)プロジェクトの大幅な生産性向上を目指す「ITグランドプラン2030」を発表し、着々と計画を進めています。

その取り組みの一つが、大型3Dプリンターによる構造物や基礎の施工です。2019年に同社グループが公開したYouTube動画では、多数の3Dプリンターを現場に設置し、施工するイメージが描かれています。(詳しくは、2019年12月11日付けの当ブログ記事を参照

3Dプリンターを現場に設置して、施工の自動化を図るイメージ(資料:YouTube動画より)

この計画に向けて、同グループの日揮グローバル(本社:横浜市西区)は、建設工事での3Dプリンター導入に向けて大きな一歩を踏み出しました。

国内のプラント建設現場で、

ナ、ナ、ナ、ナント、

ガントリー型3Dプリンター

を使用し、有効性を実証することなったのです。(日揮ホールディングスのプレスリリースはこちら

日揮グローバルが実証するデンマーク製のガントリー型3Dプリンター(以下の写真、資料:日揮ホールディングス)

日揮グローバルは2020年9月にEPX DX部を新設し、201年4月には同部内に建設の自動化や3Dプリンター技術を推進する組織として「DFAMユニット」設置しました。

※DFAM:Digital Fabrication and Additive Manufacturingの略

実証は、同グループの日揮(本社:横浜市西区)が、宮城県石巻市で建設中の「バイオマス専焼発電設備」の建設現場で行われます。

使用する3DプリンターはデンマークのCOBOD International A/S(以下、COBOD社)が開発したもので、工場の天井走行クレーンのように造形用ノズルが縦横方向に移動するガントリー型3Dプリンターです。(詳しくは、2019年3月18日付けの当ブログ記事を参照

その特長は、ロボットアームなどを使った他社製品に比べて大型構造物の造形や屋外での利用が可能なことです。

例えばベルギーでは2020年に、COBOD製の3Dプリンターを使って、2階建て住宅の基礎から屋上までを丸ごと建設するという世界初の工事にも成功しています。(詳しくは、2020年8月25日付けの当ブログ記事を参照

2階建て住宅をまるごと建設することもできる

3Dプリンターによる施工は、型枠工が不要となるほか、「構造物の形状の自由度が高い」「複数部材を一体化できる」という設計の効率化や、「ロボット活用による省人化」という施工段階での効率化が期待できます。

日揮グループでは、強みとするEPC一括遂行プロジェクトにおける全体最適を、さらに向上できると期待しています。

同グループでは、国内の建設現場で3Dプリンターの有効性を確認したのち、海外を含めた

建設プロジェクト全体

への本格的な導入を進めていく予定です。

日揮グループが目指す2030年時点のデジタル技術活用イメージ

3Dプリンターなどを活用した建設DX実現へのロードマップ

日揮グループの「ITグランドプラン2030」では、工数1/3、スピード2倍を目標としており、「時間・人当たり」という視点では「6倍の生産性向上」ということになります。

同業の東洋エンジニアリング(本社:千葉県習志野市)も先日、デジタルツインを活用したワークフローで「2024年までに生産性を6倍にする」というビジョンを発表しました。(詳しくは、2021年6月18日付けの当ブログ記事を参照

これまでの地道な「カイゼン」による生産性向上は「2~3割」のレベルが多かったように思いますが、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」による生産性向上は、エンジニアリング業界の場合「6倍」が相場のようですね。

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