鹿島が複数メーカーのロボット、エレベーターを連携制御! 東京・羽田のHICityで実験に成功
2023年5月15日

管理人のイエイリです。

ひと昔前のインテリジェントビルやスマートハウスでは、建物内にある空調・照明など、異なるメーカーの設備を統一的に制御する必要から、BACnetやECHONET Liteなどの規格が生まれ、使われてきました。

今後の人手不足時代には、建物の設備だけでなく、その内外で働く様々なロボットも含めて統一制御することが求められています。

そこで、2022年12月から2023年1月に、東京・羽田空港に隣接する大規模施設「HANEDA INNOVATION CITY」(以下HICity)で、メーカーが異なるロボットや設備をそれぞれ複数台使って連携制御する基盤システムの実証実験が行われました。

この基盤システムの開発や実証を主導したのは、電機や通信などの企業ではなく、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

鹿島建設

 

だったのです。(鹿島建設のプレスリリースはこちら

メーカーが異なるロボットと建物設備を連携制御する基盤システムのイメージ(資料:鹿島建設)

メーカーが異なるロボットと建物設備を連携制御する基盤システムのイメージ(資料:鹿島建設)

今回、HICityに導入したのは、(1)複数メーカー・複数台のロボットの連携機能、(2)ロボットと複数メーカー・複数台のエレベーターとの連携機能、(3)ロボットの統合管制システムの3つです。

この基盤システムを導入することで、清掃や警備、配膳・配送などの業務を担う各種ロボットが、建物内のエレベーターを乗り降りしながら、自由に走行できるようになります。

また、施設管理者は各種ロボットを一元的に監視できます。

こうしたことは、これまで困難でした。鹿島はこのシステムの本格実装に向けて機能を拡充するほか、ほかの大規模施設への展開も図る方針です。

●今回の実証実験で使われた機能

1. 複数メーカー・複数台のロボットの連携機能
メーカーにより異なる制御システムを持つ複数台のロボットの情報を集約し、それぞれに指示を出すことで各分野のロボットを連携制御。これにより、同一施設内を走行するロボットの衝突防止や配送能力向上に寄与。

2. ロボットと複数メーカー・複数台のエレベーターとの連携機能
同一施設内のメーカーが異なる複数台のエレベーターへ、各種ロボットが円滑に乗降可能。

3. ロボットの統合管制システム
各ロボットの状況を把握し、システムエラー等のトラブルがあった際に施設管理者へ通知。

鹿島はHICityを拠点にスマートシティー化を推進する、「羽田第1ゾーンスマートシティ推進協議会」とともに、モビリティーやロボティクス、ツーリズム、ヘルスケアの各分野で実証実験を行っています。

この取り組みでは、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)モデルに、まちやロボット、車両などのリアルタイムなデータを統合した

 

デジタルツインによる制御

 

を目指しています。(2020年9月14日の当ブログ記事参照

2022年度には、国土交通省のスマートシティ実装化支援事業に選定され、ロボットの本格導入を見据えたインフラの試験的実装を行いました。

「羽田第1ゾーンスマートシティ推進協議会」の構成と活動内容(資料:羽田みらい開発)

「羽田第1ゾーンスマートシティ推進協議会」の構成と活動内容(資料:羽田みらい開発)

BIMモデルにまちのデータをリアルタイムに統合し、様々な目的に活用するイメージ(資料:羽田みらい開発)

BIMモデルにまちのデータをリアルタイムに統合し、様々な目的に活用するイメージ(資料:羽田みらい開発)

今後、様々なロボットや設備が建物や社会インフラに導入されるようになると、ロボットと建物の統一制御ニーズは高まるばかりです。

建物という「ホームグラウンド」を仕切れるゼネコンや不動産会社にとって、“建物のOS”開発は、有望な新ビジネスになりそうですね。

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