管理人のイエイリです。
ひと昔前のインテリジェントビルやスマートハウスでは、建物内にある空調・照明など、異なるメーカーの設備を統一的に制御する必要から、BACnetやECHONET Liteなどの規格が生まれ、使われてきました。
今後の人手不足時代には、建物の設備だけでなく、その内外で働く様々なロボットも含めて統一制御することが求められています。
そこで、2022年12月から2023年1月に、東京・羽田空港に隣接する大規模施設「HANEDA INNOVATION CITY」(以下HICity)で、メーカーが異なるロボットや設備をそれぞれ複数台使って連携制御する基盤システムの実証実験が行われました。
この基盤システムの開発や実証を主導したのは、電機や通信などの企業ではなく、
ナ、ナ、ナ、ナント、
鹿島建設
だったのです。(鹿島建設のプレスリリースはこちら)
今回、HICityに導入したのは、(1)複数メーカー・複数台のロボットの連携機能、(2)ロボットと複数メーカー・複数台のエレベーターとの連携機能、(3)ロボットの統合管制システムの3つです。
この基盤システムを導入することで、清掃や警備、配膳・配送などの業務を担う各種ロボットが、建物内のエレベーターを乗り降りしながら、自由に走行できるようになります。
また、施設管理者は各種ロボットを一元的に監視できます。
こうしたことは、これまで困難でした。鹿島はこのシステムの本格実装に向けて機能を拡充するほか、ほかの大規模施設への展開も図る方針です。
●今回の実証実験で使われた機能
1. 複数メーカー・複数台のロボットの連携機能 2. ロボットと複数メーカー・複数台のエレベーターとの連携機能 3. ロボットの統合管制システム |
鹿島はHICityを拠点にスマートシティー化を推進する、「羽田第1ゾーンスマートシティ推進協議会」とともに、モビリティーやロボティクス、ツーリズム、ヘルスケアの各分野で実証実験を行っています。
この取り組みでは、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)モデルに、まちやロボット、車両などのリアルタイムなデータを統合した
デジタルツインによる制御
を目指しています。(2020年9月14日の当ブログ記事参照)
2022年度には、国土交通省のスマートシティ実装化支援事業に選定され、ロボットの本格導入を見据えたインフラの試験的実装を行いました。
今後、様々なロボットや設備が建物や社会インフラに導入されるようになると、ロボットと建物の統一制御ニーズは高まるばかりです。
建物という「ホームグラウンド」を仕切れるゼネコンや不動産会社にとって、“建物のOS”開発は、有望な新ビジネスになりそうですね。