管理人のイエイリです。
さまざまな会社やヒト、モノが同時に稼働する建設現場ではこれまで、全体の動きを把握するのが困難でした。
その一方、工事のQCDSE(品質、コスト、工期、安全、環境)を管理しながら、現場で働く職人や技術者の働き方改革を実現しなければならないという課題もあります。
こうした複雑な問題を解決するため、NTTドコモは建設現場の情報をリアルタイムに収集し、共有できる「建設現場IoTプラットフォーム」のβ版(試作版)を開発し、2018年3月1日からゼネコン向けに提供することになりました。(NTTドコモのプレスリリースはこちら)
「IoT」とはもちろん、モノのインターネットです。しかし、このシステムでは、人間の動きをIoT的に把握することが大きなウエートを占めています。
建設現場にはビーコンなどを配置して、職人や技術者の位置情報を取得します。また、職人や技術者からはスマートフォンや手首に付けた「バイタルバンド」と呼ばれるセンサーによって
ナ、ナ、ナ、ナント、
心拍数や歩数
などの活動量情報を取得するのです。
体調不良や高負荷作業による疲労や精神的な不調なども、早期に発見し、対策をとることができそうです。
このほか、建機などの稼働状況や位置情報も含めて、建設現場IoTプラットフォーム上で集約し、加工・分析した情報をリアルタイムに可視化します。
建設現場の所長や職員は、これらの情報をパソコンやタブレット端末、スマホなどで見ることによって、現場全体の動きをリアルタイムに把握することができます。
優先度が高い事項が即座にわかるので、協力会社の職長や職人と、スマホでタイムリーに連絡を取りながら円滑なコミュニケーションが行えます。
ヒトやモノのデータを利用して、労務管理や資機材の受発注、進ちょく管理などの効率化も行います。これらを実現するために、パートナー企業6社とも協業しています。
その中の1社にはオートデスクも含まれており、
BIMデータと現場情報
を組み合わせ、進ちょく管理制度の向上を検討していくとのことです。
ヒトやモノのデータ分析には、NTTのAI(人工知能)システム「corevo(コレボ)」も活用し、作業進ちょく率の予測高度化や画像による施工品質の判断、機材稼働率の推定なども行っていきます。
NTTドコモが2017年に行った実証実験では、書類作成や現場巡視、段取りの打ち合わせなどの進め方を改善することにより、ゼネコン職員一人あたり最大で2時間/日の時短余地があることがわかったそうです。
建設現場IoTプラットフォームは、「リーンコンストラクション」(ムダのない建設)の実現という点でも、大きな効果を発揮しそうですね。