管理人のイエイリです。
BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やi-Constructionなど、建物や土木構造物の3Dモデルで設計や施工を行う手法が広まるとともに、3Dレーザースキャナーや写真を使って現場の現況を点群データ化する機会も増えてきました。
無数の3次元座標からなる点群データを活用する上での悩みは、データ量が膨大なことや、点群のままではBIM/CIMソフトで編集しにくいこと、建物や敷石の「角」があいまいなことなど、いろいろとあります。
これらの問題を解決する方法としては、点群の各点の間に三角形の面を張り「メッシュデータ」にすればいいわけです。
しかし、これまではソフトを使ってメッシュ化を行うと、トンネルの断面に面が張られたり、橋脚のような構造物は関係のないところ同士が面でつながったりするため、手作業による分割作業や修正が欠かせませんでした。
そこで大規模点群編集ソフト「WingEarth」を開発・販売するアイサンテクノロジーは、同ソフト用に点群をメッシュ化する「3Dメッシュ」という技術を開発し製品に搭載しています。
そして、このほど
ナ、ナ、ナ、ナント、
3Dメッシュの特許を取得
したのです。(アイサンテクノロジーのプレスリリースはこちら)
この特許は「メッシュ作成装置、メッシュ作成方法およびメッシュ作成プログラム」(特許第6349377号)というものです。
通常のメッシュ化技術では困難だった直上がり形状(オーバーハング)にも対応し、地形や建物のほかトンネルや橋梁、構造物などの複雑な形状もメッシュ化することができます。
このほか特許には、点群から床や壁などの平面を推定したり、面同士が交差する「角(エッジ)」を自動的に生成したりする技術も含まれています。
そのため階段や道路の縁石の角を3Dトレースする作業も簡単に行えます。
WingEarthは、土木関係のユーザーには知られている一方、建築関係の設計者にはあまり縁がないソフトでした。
しかし、今回、特許を取得した技術を使うことで、点群データから
建物内部の3Dモデル
をスピーディーに作成することも可能になったのです。
最近は、マンションのリフォームなどでも、計画の作成にBIMや3Dモデルが使われることが多くなりましたが、部屋の角が家具などによってわかりにくいこともよくありました。
WingEarthの機能を使うと、部屋の内部を3Dレーザースキャナーで計測し、3Dモデル化することが簡単にできそうです。
土木分野のために開発されたソフトですが、今後は機能を絞って建築やリフォームに対応した簡易版の発売も期待したいですね。