管理人のイエイリです。
商業施設や事業施設などの建物のデザインを左右する外装材や内装材の決定は、なるべく早い方がスムーズな施工ができていいですね。
そこで大和ハウス工業、南国アールスタジオ(本社:東京都渋谷区)、トラス(本社:東京都千代田区)の大和ハウスグルーブ3社は、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)とVR(仮想現実)やMR(複合現実)を連携させた「D’s BIM ROOM」を開発しました。
このシステムを使うと、タブレットや「HoloLens 2」などのMRデバイスを通して着工前の建設予定地を見ると、設計中のBIMモデルを現地の風景に重ねて見ることができるのです。
BIMをMR化するのも結構な技術力が必要ですが、それだけではありません。このVRは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
メタバース空間
にもなっており、遠隔地の人もアバター(分身)として、空間に“疑似参加”して一緒に打ち合わせができるのです。(大和ハウス工業、南国アールスタジオ、トラスのプレスリリースはこちら)
この「D’s BIM ROOM」を使うことで、建築の専門家でないオーナーも、着工前の段階で建物の完成イメージを、空間的にも風景的にも、かなり具体的に理解することができます。
そして、壁材などはいくつかの候補案を切り替えながら、その場で仕上がりの状況を比較検討できます。
そのため、内外装デザインの決定や、床・壁・天井などの仕上げ材の“モノ決め”も、フロントローディング(前倒し)することができます。
これまでのように着工してから、「この色では、周囲の建物から浮いてしまう」などと急に施主の気が変わり、手戻りが発生する心配がありません。
このシステムは、大和ハウス工業がオートデスクのRevitなどで構築したBIMのクラウドシステムと、トラスが開発した建材データベース「truss」(2020年11月2日の記事参照)を、南国アールシステムのメタバースプラットフォーム「WHITEROOM」(2022年11月21日の記事参照)上で連携させて、シームレスに運用できるようにしたものです。
建材データベース「truss」には現在、約3万点の壁材、約2満点の床材、そして約1万点の天井材が登録されており、そのデータはBIMモデルの属性情報として自動的に入力されるようになっています。
複数の建材を比較検討する際には、「候補」なのか「決定」なのかといった情報も
BIMの属性情報と連動
するようになっています。
また属性情報には、コスト情報も入っていますので、デザイン面だけでなく、建築コストも並行して検討できます。
D’s BIM ROOMが本格稼働すると、デザインやモノ決めなどの「手戻りのムダ」が減るほか、打ち合わせのための「移動のムダ」、建材情報などを「探すムダ」、BIMモデルにデザイン変更など反映する「手作業のムダ」など、様々なムダ削減効果が期待できます。
それは、それぞれの作業時間を短縮することにもつながり、建設業が直面する「2024年問題」の解決にも大きく貢献しそうです。
そのためには、できるだけ多くのユーザーが、メタバース環境に対応し、アバターで参加できるようになる必要がありますね。このシステムには、写真1枚から簡単に自分のアバターを作れる機能も用意されていますので、アバターデビューのきっかけにもなりそうです。