管理人のイエイリです。
建物の設計や施工管理にBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)が導入されている今日でも、配管やダクトなどの設備を据え付ける位置を床面に描く「墨出し」作業は、いまだにメジャーテープなどによって従来の方法で行われている現場が多いのではないでしょうか。
そこで日立プラントサービス(本社:東京都豊島区)は、この墨出し作業を効率化するため日立プラントコンストラクションの協力を得て、「自動墨出しロボットシステム」を開発。2018年9月4日にニュースリリースを発表しました。
空調、衛生、電気などのCAD図面をもとに
ナ、ナ、ナ、ナント、
床面に自動墨出し
することができるのです。
このシステムは、(1)CAD図面データから墨出し用データに変換する「墨出しデータ化アプリ」、(2)墨出し用データをもとにロボットに指示するタブレット端末用のコントロールアプリ、(3)自律走行しながら作業を行う自動墨出しロボット、(4)ロボットの位置を計測する自動追尾型レーザー測量機からなります。
ロボットは、タブレット端末とトータルステーションとの間でWi-Fi経由で通信しながら、墨出し位置に移動・到達した後、ロボットに内蔵されたインクジェットプリンターで直線や文字情報を床上に描くというわけです。
これまでは空調、衛生、電気などの各設備の担当者がバラバラに行っていた墨出し作業を、CADデータを統合することで、一気に墨出しが行えます。
2017年11月に国内の現場でパッケージエアコンの室内ユニットを設置する作業でこのシステムを試験的に導入した結果、図面から墨出しデータを割り出し、墨出しを完了するまでの作業を、ロボットのオペレーター1人だけで完了できました。しかも図面との誤差は、±3mm以内だったのです。
その後、2018年12月20日には、新菱冷熱工業(本社:東京都新宿区)から、完全自動の「施工図描画ロボット」を開発したという、驚くべき発表がありました。
設備のBIMモデルデータをロボットに取り込むと、オペレーターが操作や監視をしなくても、床面に
完全自動で施工図
を1/1縮尺で作図してくれるというものです。(新菱冷熱工業のプレスリリースはこちら)
同社によるとオペレーターの操作や監視が不要な無人稼働の施工図描画ロボットは、建設業界初とのことです。
描画する情報は、(1)機器を据え付ける位置と高さ、(2)アンカーボルトの位置、(3)配管・ダクトの系統名・ルート・高さなどです。
残念ながらロボット本体の写真は発表されていないのですが、床面に描かれた図面の感じは、下の写真からわかります。
描画された図面は、視認性も考慮されておりいろいろな色で線や文字を描けるとのことです。
まさに床上に実寸大のCAD図面を描画する超大判カラーインクジェットプリンターという感じですね。
床面にCAD図面がそのまま描かれているイメージだと、従来の点と線による墨出しに比べて間違いにくくなりそうですね。
日立プラントサービス、新菱冷熱工業の両ロボットは、夜間、現場が寝静まった時間に稼働させることもできるので、工期短縮にも貢献しそうです。