管理人のイエイリです。
BIM/CIMやドローン(無人機)、ICT建機などを使った優れた工事を表彰する「i-Construction大賞」に負けず、社会インフラの維持管理にも優れた取り組みや技術開発を表彰する「インフラメンテナンス大賞」というものがあります。
今を去る2018年8月、「第2回インフラメンテナンス大賞」の表彰式が行われました。今回は205件の応募に対し、各省の大臣賞、特別賞、優秀賞が合計32件に授与されました。(受賞作品の一覧はこちら)
中でも国土交通省関連の受賞は18件と群を抜いて多く、受賞作品の内容は、それぞれ1ページの資料と約1分の動画で簡潔に紹介されています。
先日、ある仕事のため、その内容を見てみたところ、画期的な技術やアイデアの“宝の山”だったのにはビックリしました。
例えば、特別賞を受賞した五洋建設の「無線LANボートを用いた港湾構造物の点検診断システム」(プロモーション動画はこちら)は、桟橋などアクセスが難しい場所に無人ボートを航行させ、写真を撮って構造物を点検するものです。
この無人ボートで撮影した写真から
ナ、ナ、ナ、ナント、
桟橋裏の3Dモデル
を自動作成できるのです。まるで「海のドローン」といった感じですね。
さらに画像解析技術によって、ひび割れや錆汁などの劣化を抽出し、構造物の劣化度を自動判定することもできます。
このほかにも、ICT(情報通信技術)的に興味深い作品もいろいろとありました。
例えば、国土交通大臣賞を受賞した鉄道総合技術研究所の「営業車に搭載可能な軌道検測装置の開発と実用化」は、電車の床下に「慣性正矢軌道検束装置」を取り付けて、乗客を乗せて走りながら線路の沈下などを計測できるようにしたものです。
また、特別賞を受賞したNJS(東京都)の「下水道管路等の閉鎖性空間点検調査用ドローンに係る開発」は、
下水管内をドローンが飛行
しながら、内部の映像を撮影し、画像解析やAI(人工知能)によって異常箇所や劣化状態を把握するものです。
従来の自走式テレビカメラ車に比べて大幅に作業スピードが速いのが特長です。
また、優秀賞を受賞した大成建設の「画像解析を用いたコンクリート構造物のひび割れ点検技術の開発」は、コンクリート表面を撮影した写真を「ウェーブレット変換」という手法を使ってひび割れの経年変化を正確に定量評価する技術です。
ICT関係以外でも、老朽化した下水道管路内に熱交換器を内蔵した面材を敷設する「一石二鳥」の補修工法や、地下から雑草が生え上がってこない構造の路肩ブロックなど、面白い技術が満載です。
建築・土木以外のICTや生物など、様々な異なる分野の技術やアイデアを組み合わせた作品が集まるインフラメンテナンス大賞は、今後も維持管理のオープンイノベーションを育てる場として、注目したいです。