本場のIT情報を収集!竹中工務店のシリコンバレー拠点を直撃
2018年6月14日

管理人のイエイリです。

BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やi-Constructionの導入で、建設業界は本格的なIT(情報通信技術)による変革の時代を迎えています。

さらには少子高齢化による生産労働人口の減少も深刻な課題となっており、AI(人工知能)やロボット、そしてIoT(モノのインターネット)による設計、施工、維持管理の自動化も、待ったなしです。

こうした中、建設業には自社のニーズに合った新技術や製品を探し出し、活用することが求められています。展示会やネットで探すというのも有効な方法ですが、竹中工務店の情報収集はさすがに本格的です。

最新のIT情報などを収集するため、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

米国・シリコンバレーに拠点

 

を開設していたのです。

 

竹中工務店が情報収集拠点としている米国カリフォルニア州サニービルのインキュベーション施設「プラグ・アンド・プレイ」(以下の写真:特記以外は家入龍太

竹中工務店が情報収集拠点としている米国カリフォルニア州サニービルのインキュベーション施設「プラグ・アンド・プレイ」(以下の写真:特記以外は家入龍太

 

IoT関連のスポンサー企業が集まるエリア

IoT関連のスポンサー企業が集まるエリア

現地での情報収集を担当する竹中工務店技術企画部グローバルリサーチ&イノベーションチームのチーフテクノロジスト、大石潤氏(左)と技術企画部主任 企画担当の松岡康友氏(右)

現地での情報収集を担当する竹中工務店技術企画部グローバルリサーチ&イノベーションチームのチーフテクノロジスト、大石潤氏(左)と技術企画部主任 企画担当の松岡康友氏(右)

シリコンバレーで情報収集を担当する部署は、竹中工務店の技術本部技術企画部に置かれた「グローバルリサーチ&イノベーションチーム」(以下、GRIT)です。

そしてシリコンバレーの拠点としているのは、米国カリフォルニア州サニービルにある「プラグ・アンド・プレイ(Plug and Play)」というインキュベーション施設です。

いわゆる“スタートアップ企業”と呼ばれる小規模なベンチャー企業が集まり、製品や技術を開発するかたわら、販売先やコラボレーションの相手先となる大手企業とのマッチング機会を提供する場です。

竹中工務店はスポンサー企業として、この施設に年間数千万円の投資を行い、IoTや不動産関係の新技術を探しています。

その対象は、企画・設計・施工から維持管理、リニューアル、解体に至るまで、建設ライフサイクルのすべてにわたり、AIやBIM、クラウドコンピューティング、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、ロボティクス、ドローン、そしてIoTなど多岐にわたっています。

スポンサー企業になると業種や技術の分野別にスタートアップ企業が行う「ピッチ」と呼ばれるプレゼンテーションに参加したり、ミーティングを行ったりして、より早い段階で求める技術を探し出し、ビジネスにつなげるチャンスを得ることができます。

プラグ・アンド・プレイのオフィス内には、おびただしい数のスポンサー企業のプレートが上から参加した順に張ってある。竹中工務店のプレートはかなり上の方にあった

プラグ・アンド・プレイのオフィス内には、おびただしい数のスポンサー企業のプレートが上から参加した順に張ってある。竹中工務店のプレートはかなり上の方にあった

竹中工務店のGRITのミッション。建設ライフサイクルのすべてにわたるデジタル化技術が対象だ(資料:GRIT)

竹中工務店のGRITのミッション。建設ライフサイクルのすべてにわたるデジタル化技術が対象だ(資料:GRIT)

著名人も多数来訪。竹中工務店の竹中統一取締役会長のサインもあった

著名人も多数来訪。竹中工務店の竹中統一取締役会長のサインもあった

最新IT技術を開発している企業ならホームページも充実しているはずなので、わざわざ現地に拠点を置かなくてもネット検索で十分ではないの、とお二人に聞いたところ、意外な答えが返ってきました。

スタートアップ企業はホームページさえ作る余力がなく、トップページしかないこともしばしばあるそうです。また、秘密裏に開発中や技術や製品が競合他社にばれないように、あえて情報発信を控えることも多くあります。

そこでモノを言うのが、現地に腰を据えてスタートアップ企業を応援しようという姿勢なのです。その姿勢は、シリコンバレーという“ムラ社会”ではあっという間に口コミで広まります。

無料で情報を得ようとしたり、景気が悪くなるとさっさと引き揚げたりする企業はなかなか信用されません。成功しているのは、苦しいときも現地に残り、スタートアップ企業と苦労をともにした企業だそうです。

竹中工務店は、こうした考えのもと、今後も現地に根を張って情報収集やスタートアップ企業とのコラボレーションを進めていくとのことです。

インタビューを終えて帰ろうとしたところ、この施設に他の建設会社も進出していることに気づきました。

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

清水建設と鹿島のプレート

 

も張ってあったのです。

帰り際にスポンサー企業のプレートコーナーをあらためて見ると、清水建設(SHIMZ)と鹿島の名前もあった

帰り際にスポンサー企業のプレートコーナーをあらためて見ると、清水建設(SHIMZ)と鹿島の名前もあった

さすが、時代の最先端を行くスーパーゼネコンは、本場シリコンバレーでの情報収集活動に余念がありませんね。

今後、どんな技術が発掘され、日本の建設業を変えていくのか、大いに楽しみになってきました。

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